誰にとっての、何のための規制か

先日ニュースでこのような記事を見かけた。

「韓国のホテルがひどい!中国人観光客の再訪率低下か」

 

韓国・朝鮮日報(電子版)は11日、同国で訪韓観光客に宿泊場所を提供する「無許可ホテル」などが増え、観光客の宿泊施設に対する苦情が増加していることが影響して、中国からの観光客の再訪率が下がっている可能性があると報じた。
(中略) 韓国観光ホテル業協会の事務局長は、「ホテルは観光業の基本施設だ。観光客がホテルに不満を持てば、再訪率が下がるだけでなく、韓国のイメージも悪化する。関連当局が無許可ホテルへの対策をとるべきだ」と訴えた。
FOCUS-ASIA.COM

要は、
・無許可ホテルが横行して、客の満足度が低下している
・ホテル業界の事務局長は、当局が対策を取っていくべきだ、といっている
とのことだ。
言ってはいないけど、暗に規制を強めろと言っているようにも聞こえる。

今回は韓国のニュースだったが、
Airbnbのサービスが普及する中で、
日本でも旅館業界関係者からは度々反対の意見が出ている。

「無法者」に怒りを募らせているのは、旅館業法を遵守してきた旅館産業と監督官庁である厚労省だ。
旅館・ホテル組合の全国組織である全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)に至っては、全国大会で「急増する民泊を阻止しよう」というスローガンさえ掲げている。
(出典:500万円儲ける一般人も出た「自宅民宿」 旅館業界を激怒させる「Airbnb」とは)

こういった記事を見るたびに、
役所は責任を押し付けられないように必死で頑張り、
事業者はどうも自分の既得権益を守ろうと騒いでいるように感じてしまう。

 「私たち(旅館業)は人命の尊重、安心・安全を第一に考えてやっている」(全旅連 清沢正人 専務理事)
(出典:前と同じ)

それは、とてもよくわかるし、大事なことだと思う。
何かあってからでは遅いし、それが国全体の利益を損なう可能性があるのも理解できる。
そして、法を守らないことは良くない。守るべきだ。

Airbnbはグレーだとか、クリアではない、と言うが、
行ってしまえば、
黒いけどまだ誰も捕まっていない、という方が正しいかもしれない。

でも、本当に、規制して、禁止するのが着地点なのだろうか。

まず初めに、事実、東京に宿が足りない。

先日、自分たちのツアーに申し込んでくれた人から、
「ごめん、宿が取れなかったから日本行をキャンセルした」と連絡が来たときは、
なんだかとても残念な気持ちになった。

アジア各国の経済成長に伴い、継続して訪日需要は増えると思うけど
特に、オリンピックに向けて一時的に需要は増えるだろう。

それに向けて、箱モノを創っていくのか。
きっと無駄になるだろう。

加えて、単に泊まる場所の選択肢が増えるだけではなくて、
現地の生活が覗けたり、人と触れ合えたりすることができる。

既存のゲストハウスで宿泊する人の中には、
そこでの出会いや交流を求めて宿泊する人もいる。

無許可とはいえ、そういった趣旨の宿探しニーズがあるのも事実だ。

2つの点で見てみたが、
一旅行者の立場からすると、とても有難いサービスなのだ。

近年、日本でも特区を設けて規制緩和を行おうという動きがみられるが、
これがイマイチぴんと来ない。

宿泊が10日を超える人を対象とするあたりが、
どんな人を対象にした規制緩和なんだろうと首をかしげてしまう。

誰にとっての、何のための規制なのだろう。

役所に言わせれば、利用者保護のためという、もっともらしい建前が返ってくるだろう。
ホントにそうだろうか。

既存事業者の利益を守り、
第三者の世論の声に非難されないため、と思われても仕方ない。

利用者を中心に関係者を守りながら、便益を最大化していく。
これが本来の目的じゃないのだろうか。

個人的には、
情報の公開ルールとかを整理してあげることが1つの着地点としてはあると思う。

無許可だと知らずに、
無許可に泊まってトラブルになったらそれは不満もたまるだろう。

でも、リスクを認識したうえで、
リターンを取りに行くなら、それは個人の責任の範疇だ。

どんな情報を伝えてあげて、
それにどんな形で了解して契約が成立するのか。

許可の場合の保証と、無許可の場合の保証はどうなっているのか。

そのあたりの情報をしっかり交換することで、
より利便性の高い世の中になるのではと思う。

インターネットも発達し、もはや、規制を作った当初とは環境が違う。

既得権益にとらわれず、柔軟に規制も変わっていってもらえればと思う。

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