税金で行われる地方創生事業に対してぶっちゃけ思うこと

観光雑感

起業してから2年半、税金を財源とした国・自治体・団体の事業に関わる機会もいくつか頂きました。

その都度何とか価値を出そうと知恵を絞るのですが、ずっともやもやした何かを感じていました。

その「もやもや」が何なのか。

独立行政法人国際観光振興機構(JNTO)から出ている公示をきっかけに考えてみました。ぶっちゃけ。

国立公園関連のプロジェクトだったり、東北観光のプロジェクトだったりのお手伝いをしてきました。

その度にどこか、プロジェクトのためのプロジェクトになってしまっている感があったんです。
言葉を選ばず言えば、「やっておしまい。」みたいな。

あれ、税金使って何やってるんだろう。税金使って何変わったんだろう。
投資と一緒で、何十本もやって一本当たればいいって考えなのか。

そのもやもやの根源はここでした。

同じ課題に対して各組織が別々に取り組み無駄が多い

モニターツアーで、現地を訪れると、
「あれ、先週もなんかのモニターツアー来たな、なんだっけな」って言われることが良くあります。

地域を盛り上げようって言うときに、みんなで一丸となって頑張ればいいのに、
町は町で、市は市で、県は県で、地域は地域で、国は国で、って何かに取り組んでいます。

国って言っても一つじゃなくて、観光を盛り上げようってなったら、
経産省も、国交省(観光庁)も、環境省も、それぞれがそれぞれの予算で動いてます。

「正解は一つじゃないし、それぞれが動いて何か当たればいいんじゃない?」という意見もわかるけど、
ちょっとあまりにも非効率すぎてびっくりします。

このアンケート結果、どっかで見たような気も・・・。そんな調査にすぐ数百万円かかるんです。
不要なニーズ調査とか、モニターツアーだけで、どれだけのお金が使われていることか。
誰かが音頭をとって横や斜めの連携を取っていけば、もっと効率的な使い方が出来ます。

現場と分離していて実用性・継続性がない

非効率な点は置いておいて、
一番の問題は、「付加価値が出せているのか」ということです。

地方や国発のより大きな事業の多くは、所謂大企業が受託しています。
しかも、単年度会計なので、長くても1年のプロジェクトです。

東京の会社が東京の会社でチームを作って、
「地方を盛り上げましょう」といって打ち合わせをします。
外部からも有識者を連れてきます。

1年期限付きで。
事業者なんて正直その1年が終わればそれまでなのです。

もちろん、その分野の専門家の力を借りるのはとても大事なことです。
でも、一番良さを知っているのは現地の人です。
そして、プロジェクトが終わった後にその地に住む人も現地の人です。

プロジェクト期間中に、いかに現場の人と一緒に作りこんで、
その後も現地で根付いた活動につなげていけるかが鍵だと思うのです。

現地の人を巻き込まないと、結局は、打ち上げ花火で終わってしまいます。

でも、打ち上げ花火で終わるプロジェクトが、残念ながら多いように思います。
打ち上げ花火ほど盛大に咲かないまま終わるプロジェクトのほうが多いかもしれません。

「やっておしまい。」

お金をもらう事業者はそれでいいのかもしれませんし、
お金を直接負担していない現地の人は「またか」かもしれませんが、
お金を間接的に払ってる身からすると、「すんげー無駄遣いだな」って思うのです。

プロジェクトの主体的には、それっぽい報告会と報告書があればOK。

なんだかこれって、もったいないなー。

東京の企業にお金が落ちて終わっている

しかも、金額が大きければ大きいほど、大企業しか受託できないシステムになっています。
そして上述のとおり、企業同士が、チームを組んでプロジェクトに臨みます。
打合せは大都市が基本になるので、声をかけるのも大都市の事業者が多くなります。

再委託で、現地の中堅中小に仕事が流れることもありますが、
一部ですし、利ざやを抜かれた後です。

モニターツアー等をすれば現地にお金も落ちますが、
事業費用の全体から比べるとごく一部です。

せめてね、せめて、プロジェクトの付加価値が小さくても、
地方にお金が落ちて、再分配が行われて、地方が潤えばいいなって思うんです。

地方創生だし。
でも、税金貰ってるのは大企業かよ、って思うと、
何とも言えない気持ちになるのです。

(自分もその恩恵に預かってしまっている身なので、
身を引き締めねばと思うところです。)

おまけ:説明書が事務所(東京)に行かないと貰えない

ちなみにこれは余談ですが、
今回公示が出ていた説明書(応募するのに必要な書類)について問い合わせたら、
「事務所(東京)に来てください」と言われてしまいました。

「地方にしか事務所のない人は、東京まで取りに行かなきゃいけないのか」とびっくりしました。
東北の案件なのに・・・

「公共性」という観点からメリハリを利かせづらい

「単年度で現場を巻き込んでやる」っていうのは、
なかなか大変なことだというのは十分わかります。

多くの事業者も巻き込みたいけど、
巻き込む時間がなかったというのも正直なところなんじゃないかと思ってます。

複数年に延ばせればそれもまたよしですが、
単年度に限られるのであれば、今度大事なことは、メリハリを利かせることです。

でも、公共事業という性質上、
それを実現できないというのは悩ましいところだなと感じています。

「まずはモデルケースとして、〇〇だけ起ち上げよう」
「100人モニターツアーするより、1人のインフルエンサーを連れて行ったほうがいい」

こういうメリハリが利かせられるようになると、
質を向上させられるんじゃないかなと感じています。

 

以上、

縦割り行政単年度会計であるが故のひずみも大きいと思いますが、
税金の分配・活用がうまく機能していないということなんだと思います。

上記のように書きましたが、もちろんプロジェクトによる成果もたくさんあります。
でも、税金事業以外のプロジェクト経験と比べて、課題を感じるのも事実です。

今回、たまたま公示に出ていることを知ったのが、
JNTOが出している「ブランド構築を目的とした東北地域の訪日プロモーション事業」でした。

事業費1億円。

誰が、どんなプロモーションを提案するんだろう。
東北観光推進機構や東北の各県や自治体との協業ってどうなってるんだろう。
この1億円を使った後の世界(2017年)はどうなってるんだろう。

 

チーム大企業が受注したら、なんだか、結局あまり変わらない気がするんです。

昨年度から、東北の観光推進にも携わらせていただいているのですが、
チームでブレストした結果、このもやもやを解決すべく、
「チーム東北を組んで受注できたら面白いんじゃないか」って話になりました。

僕のビジネスパートナーの河野も「インバウンドは愛だ」とことあるごとに言ってるのですが、
結局、地方創生はその地方への愛の大きさが大事だと思うんです。

そして、地方に愛を一番持っているのは、その土地に住んでいる人だと思うのです。

現場の巻き込みをスタート時点で整えておけば、
現地にもっとお金も落ちます。その先も続きます。

各自治体の調整も、既にパイプがあれば比較的容易です。
メリハリは・・・まぁ何とかできるでしょう!

この案件の締め切りは迫っているし、なんだか出来レース感もあるのですが、
税金を使った事業に対して、なんだか一石投じたいなとも思うのです。

 

いかがでしょう。
東北の皆さま、一緒に取り組んでみませんか!

 

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(2016年8月20日追記)
今回は、時間が限られていたこともあり、提案を出すことは断念することにしました。

そもそも、提案を出す権利が、自分自身の会社にはないことと、
どこかの会社と組むにしても、事情が複雑なことも見えてきたためです。

でも、今回の投稿をきっかけに、多くの人から反応をいただきました。
自分たちが何をやっているかを発信して、
出来るところから一緒に取り組んでいけば、
一つ一つ積み重なっていくのでは、と感じました。

情報の公開を意識しつつ、頑張っていきたいと思います。
これからもよろしくお願いします。

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