【観光立国化】日本のガイド文化を加速化させる16の提言(素案)

観光雑感
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インバウンドの増加、アフターコロナの観光の議論の中で、「ガイドの必要性」がよく議題に上がるようになりました

僕自身ガイドツアーに携わって8年目に入り当事者ではあるので贔屓目はあるものの、「ガイド」はとても大きな潜在性を持った分野だと感じています

多分放っておいても経済合理性に従って徐々に広がっていくものだと考えていますが、もっと加速化するために何ができるのかということを整理してみました

今回「(素案)」と付けさせていただいたのは、まだ生煮えであり、公開することで議論が進み、より面白い提言に繋がれば、という想いがあってです

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ガイド文化が観光活性化においてもつ意味

「なんでガイドが必要なのか?」と言われるといろんな答えがあると思います
単に、ガイドツアーをやることは、ツアーが売れるというだけではなく、更にすそ野が広がる効果が見込めます

  • ゲスト満足度の向上によるゲストのファン化
    • 旅の楽しさが増す
    • その土地・その人への理解が進み、旅が充実したものになる
    • スタンプラリー的旅行から、深みを持った研鑽の時間に変わっていく
    • 時間を有効活用できるようになる
  • 地域との摩擦の解消
    • 言語の壁・文化的相違による地元のフラストレーションの解消
  • 経済的効果の拡大
    • ガイドがいることで、ものの良さが分かり、消費に繋がる
    • ガイドツアー自体でもお金が落ち、そこに雇用が生まれ、地域の消費に繋がる

また、このように観光活性化に繋がるとともに、そもそもの観光の価値でもあると考えている相互理解や世界平和にも意義があるのが「ガイド」という存在です

  • 人と人の繋がりがより強いものになる
    • 通訳ガイドは「民間外交官」とよばれることがあるが、ゲストとガイドが繋がることで、国内においても、国境を超えても相互理解が促進される
    • ガイドが媒介となることで、人と人の繋がりが生まれることもよくある

確かに、単に、見たい場所を見に行くだけなら、ガイドなんて存在はいりません
ネット環境が発達した今、iPhone片手にどこにだって行くことができます

もちろん上記で書いたものの中には、Techを活用したサービスで満たすことができる部分もありますが、そこに人が媒介するからこそ意義も大きいと確信しています

ガイド文化が根付いていない現在の日本

冒頭に「ガイドの必要性」がよく議論に上がるようになったと書きましたが、裏を返せば、日本にはガイドがいなかったということです

正確に言えば、山岳ガイド等ごく一部の分野を除いて、職業としてのガイドが成り立ってなかったという状況です

先日の投稿でも、ガイドとして思い浮かべるのは、添乗員・バスガイド・ボランティアガイドじゃないかと書きました

ボランティアガイドで言えば、「ガイド」という名前こそついていますが、出自や目的が違うのではないかと感じています

ボランティアガイドの管轄は、「観光課」や「商業課」ではなく、「生涯学習課」が管理している自治体もあります。ゲストサービスのために、というより、高齢者の生きがい創出のために、という目的もあるわけです

それはそれで大事な役割だと思っておりますが、ガイドをして対価を貰うというシーンが少ないということは、同時に、ガイドに対してお金を払うという機会もないということです

「ガイドなんてボランティアだから無料でしょ」「ツアーなんて町会が募集してて安いやつだよね」そんな環境で育ってきました

日本にガイド「文化」は根付いていないのです

僕たちがインバウンド向けにツアーをはじめてみて、ガイド文化は旅行の仕方の成熟度と相関があるのでは、という仮説を持ち始めました

  • 人は旅行をし始めるとまずは物欲を満たすようになる(例:1990年代の日本の欧州での爆買い、2010年代の中国の日本での爆買い)
  • 物欲が満たされるようになると徐々に知識欲等精神的欲求を満たすようになっていく

日本も徐々に付加価値が付いたものへの消費傾向が増えてきたように感じています
これから徐々に、ガイド側もゲスト側も成熟するタイミングに来ているように思います

ガイドが文化となっていくフェーズです

ただ放っておけば、10年、20年かかってしまうかもしれない

観光を産業化していく為には、これを短縮していくことが大事です

そこで、何ができるのか

「国がこれをやってくれれば促進するんだ」と一方的な提言は片手落ちだと感じています
むしろ、それぞれの立場でベストを尽くして一緒に盛り上げていきたい

それが、これを整理している想いです

ガイド文化を加速化させる16の提言

国にお願いしたいこと

  • ①通訳ガイドの「ホスピタリティの専門家」としてのリブランディング(先日の投稿)
  • ②全国通訳案内士資格の見直し
    • 試験をブランディング・実態に合わせた形で見直す
    • 通訳案内士資格保有者は自家用車でのガイドを認める
    • 名称独占に関しての運用を狭める
      • 通訳案内士を使えないのはいいとして、「通訳ガイド」を使えないのは一般的に理解に難しい(各自治体の事業ですら、無資格者を対象とした通訳ガイド研修があったりする、、、)
  • ③省庁間連携による環境整備の実施
    • 総務省と連携し、観光人材として活躍予定の地域おこし協力隊を派遣前にフィリピン等に派遣し語学力をつけて現地に送り込み、地域における多言語・ガイド人材不足を解消する
    • 総務省と連携し、ふるさと納税に、ガイドツアー等のこと体験を充実させ、対外国人向けだけでなく、日本人向けツアーの普及に取り組み、「ガイド」の価値を国内に浸透させる
    • 内閣府と連携し、移住・定住の取組と、観光の推進を連携させる(まちひとしごとと連携したガイドが担える仕事の創出も含む)
    • 文科省と連携した観光教育の実施
      • 修学旅行等における「ガイド」の活用、ガイド付旅行への成功体験の創出
      • 中学・高校の社会科の授業、課外授業等における、ガイド体験
        • アウトプットすることによる知識の定着
        • プレゼンテーション能力の向上
        • 自地域への誇りの醸成
    • 外務省と連携した多言語ホスピタリティ人材のリスト化
    • 文化庁と連携した文化財における通訳案内士優遇施策の実施
    • 環境省と連携した国立公園における通訳案内士優遇施策の実施

地方自治体にお願いしたいこと

  • ④税金を使っている自覚を持ったガイドが活躍できる環境に繋がる公共事業の実施
    • 沢山の事業が行われているけど成果が不透明。業者に提案されたから消化するという受け身の姿勢を辞める。担当者が情報交換しながらある程度の知識を持ったうえで事業を行っていく
    • 人事異動のタイミングを考え、新人だけが手探りで実施する状況は避ける
    • 募集と育成のかけるバランスを考える
  • ⑤自治体で管理している資産のガイドツアーでの積極的活用
    • ガイドツアーでは、特別な場所に入れることは大きな価値になる
    • 都道府県市区町村の保有財産の活用を検討していただくことはガイドの雇用の創出・消費の拡大に繋がる

旅行会社にお願いしたいこと

  • ⑥ガイド育成へのコミット
    • ガイドは個人事業主が多いこともあり、CAやホテルコンシェルジュといった「ホスピタリティ」職業と比べ育成の機会が少ないこともあり、自己研鑽も大事だけど、旅行会社による育成も重要
    • 僕たちもやらなきゃと思っているのは、ガイド育成のメソッドの確立をしたい。共通言語をそろそろ作れる気はしている
  • ⑦ガイドの報酬の向上
    • ガイドが安定して活動するためには待遇の改善も必要。ただ、一方的に報酬基準を作るというよりは、価値に見合ったガイドを育成することとの両輪を回す
    • イケてるガイドが、いい報酬を受け取れる。そういう普通の世界を目指す
    • このためには技術の活用による管理コストの削減も大事
    • ガイドの育成と合わせて考えると、個人事業主への業務委託だけでなく、社員ガイドという地位を創っていくことも含めて考えていく必要あり
  • ⑧啓蒙活動へのコミット
    • 将来への投資も自分たちでやっていく必要があるなと感じています
    • 学校での講演とか積極的に受けていく必要があります
    • いずれキッザニアにもどこかが出ていくとかもいいですよね(あれ、どういうシステムなんだろう)

観光施設等にお願いしたいこと

  • ⑨プロモーションを意識したガイドへの優遇の提供
    • ガイドは皆様と一緒にゲストを喜ばせる中までもあり、皆様の施設の魅力を発信してくれる仲間です
    • 下見やゲストと同行するときの入場料も物理的・精神的な負担だったりするので、それを優遇してくれるだけでも、ゲストに紹介しやすくなります
    • ガイドだけ特別に入れる場所等を検討いただけるとより協業しやすくなります。事前に研修を受けたガイドだけが入れる、等もより魅力をゲストに伝えていく手段です
  • ⑩ガイドを活用した観光施設のマネタイズの実施
    • イヤホンガイドを導入したり、ボランティアガイドにお願いしている施設もあるかと思いますが、リアルなガイドの活躍機会を是非作ってもらえればと思ってます
    • より魅力が伝わりファンが増えるだけじゃなく、特別なツアーを作ることでマネタイズに繋げることもでき、施設もガイドもウィンウィンの関係を実現できます。

ガイドにお願いしたいこと

  • ⑪目の前のゲストを、満足・感動させる努力の継続
    • 自分がガイド文化を創るんだって思ってくれる人が一人でも増えていくことが大事
    • みんなが頑張ってればいつか、ガイアの夜明けとか、情熱大陸が取り上げてくれてブレイクする可能性もある
  • ⑫営業力の強化
    • 旅行会社としても報酬を向上させる努力をしていく必要はあるが、対旅行会社を含め営業力を強化していく必要がある
    • このご時世ゲストから直接予約獲得することも容易だし、そうすると2-5割報酬は増える可能性あり
    • 「営業力の強化≠交渉に出る」は理解しておいた方がよい
  • ⑬前面に立っての魅力の発信/魅力の発信を行っていく人への称賛
    • 誰かロールモデルがメディアに立っていくのが大事。ガイドだけで食べていくんじゃなくて、もしかしたら「ガイドと○○を副業するとうまくいく!」というロールモデルなのかもしれない
    • 年収とかって公開しづらいものではあるが、なんだかんだで仕事として成り立つかは次世代にとって大事
    • 自分が前に立ってPRしていくのは勇気も必要だし、それを称賛する空気感も必要

職探している人にお願いしたいこと

  • ⑭気合と勇気を持ったガイド・ガイド業界という職選択
    • 現状優しい道ではないかもしれませんが、是非その道に飛び込んで、「その一歩が道となり、その一歩が道となる」ことをして頂き、後進の道を開いてください

旅人にお願いしたいこと

  • ⑮ツアー参加してよかった時の情報発信
    • ツアー興味ない人に「ツアー参加して!」とは言わないので、参加してよかったら、是非魅力の拡散に協力をお願いします。友達1人に伝えるだけでもいいので
    • SNSとか、口コミサイトでどんどん発信してもらえるとゲスト側の文化が広がります。口コミとかホント嬉しいんです
  • ⑯悪い口コミを投稿する際の一呼吸
    • 個人で悪い口コミを受け取ると相当ダメージを受けるのもまた事実です。もちろんその責任はガイドにあるのですが、その与える影響を理解したうえで投稿して欲しいです
    • 中には口コミサイトに投稿せずに直接メールをくれるゲストもいます。その優しさに感動します

言ってしまえば、どんな立場であっても、同じ未来を描きながら、一緒にがんばれる熱い人と楽しい未来を一緒に創っていきたい、ってことです

ぜひ、いろんなご意見をお待ちしています

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