【速報】通訳案内士によるドライバーガイド解禁か!?

観光雑感

ライドシェアの議論が盛り上がっている中で、2024年3月1日に国土交通省物流・自動車局旅客課長より、「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて」という通達が出ました。

落ち着いてもう一度通達を見直すことと、運用がどうなるかの確認は必要なのですが、ファクトベースで今回の通達をご紹介します。
(自分自身も強い関心を持っていた分野で、理解が正しければ大きな前進です!!)

今回のガイドラインの要点は何か!?

通達は9ページにまたがっていて、詳細は読んでいただければと思うのですが、要点としては、「通訳案内士がガイドする際に運転することを認められたこと」です。

(要否を断定したものではないので、必ず詳細な元資料に沿って判断下さい)

  • 本通達の発出に伴い、以下の通達および事務連絡を廃止する
    • 「通訳案内士による自家用車を用いた通訳案内行為について」(平成29年8月14日付国自旅第75号) ※後述します
  • Ⅱ 1.(1)収受するものが「反対給付」にあたらない場合②利用者からの給付が実費相当分の場合
    • 運送行為が無償で行われる場合においても、ガソリン代等の「実費」を受け取ることは許される。この場合には許可又は登録は不要である。
    • 「実費」とは、運送に必要なガソリン等の燃料代、道路通行料、駐車場料金、保険料、当該運送を行うために発生した車両借料(レンタカー代)を言う
  • Ⅱ 1.(2)反対給付が「運送」に対するものではない場合の有償性判断
    • 提供されるメインサービスが有償であっても、当該サービスの利用者へ付随的に提供される運送については、運送に特定した反対給付がない場合、許可又は登録は不要である。この場合、燃料代等の実費を求めることは可能である。送迎利用の有無によって利用料に際を設ける場合は別途
    • [法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
      • ⑤通訳案内士等による観光ガイド事業との一体運送
        • 国・地方公共団体及び公益社団法人日本観光振興協会並びに公的機関が認定・付与する資格を有する観光ガイドが、ガイドのために人を運送する場合で、運送に特定した反対給付がない場合は、許可又は登録は不要である
        • ただし、観光ガイドと称していても、提供されるサービスの実態が、当該地域に関する専門的な知識や高度な語学力等に基づくガイドの提供ではなく、単に目的地への運送の見である場合には、許可又は登録を要する
  • Ⅱ 2.利用者の利用料に差を設ける場合の取扱い
    • 利用者間の公平性を図る観点から、当該運送サービスの利用の有無によって施設の利用料や宿泊料に差を設ける場合には、当該差額が運送サービスに要する実費の範囲内であれば、許可又は登録は不要である
    • 実費の範囲に、車両償却費、車検料・保険料等の車両維持費を含めることも差し支えない。また幼稚園等において許可を受けた場合は、利用者から運行に係る人件費相当を収受することが出来る
  • Ⅲ 1.運転役務の提供について報酬が支払われた場合
    • 他人の車両の運転を委託されて運転役務を提供した場合に、運転役務の委託者から運転役務の提供者に対して当該役務の提供について報酬が支払われたとしても、有償の運送行為には当たらない(但し書きあり)
    • [法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
      • 運転役務の提供者が利用者の所有する車両を使用して送迎を行う場合
  • Ⅲ 2.仲介手数料の受領および運送サービス提供者に対する謝礼および実費の代行受領
    • 運送サービスの仲介を依頼した者から仲介者に対して仲介に対する報酬が支払われたとしても、運送サービスの提供に対する反対給付ではないので、運送が有償で行われたことにはならない
    • [法の許可又は登録を要しない場合(具体例)]
      • 仲介者が、自家用自動車を用いて運送サービスを行う者と当該サービスを利用する者を仲介する場合において、運送主体ではない仲介者がそのいずれか又は双方から仲介手数料を収受しても差し支えない
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001338101.pdf

要は、禁止していた「通訳案内士による自家用車を用いた通訳案内行為について」という業務連絡は撤廃して、ガイド代だけを受け取ってるなら運転も認めるし、何なら実費程度なら受け取ってもいいよ、という話と認識しています。

また、グレーに運用されていると感じていたゲストが借りた車を運転する行為も認められましたし、プラットフォーマーとして活躍することも認められていて、ライドシェアの改正等を待たずして物凄く大きなガイドラインによる改善となったように思います。

そもそも何が問題だったか!?

自分が、通訳案内士に関わった2015年頃は、通訳案内士法自体が改正が議論されている時期でした。
そうした中で、何が「通訳案内行為か!?」という話もあったのですが、同時に、当時から地方での二次交通問題は話題になってました。

「ガイド代としてお金を貰っているが、車代は貰っていないという整理で、通訳案内士が自分の車で運転してゲストをガイドしている」という噂も耳にはしていました。

そこに平成29年に発せられたのが上述の「通訳案内士による自家用車を用いた通訳案内行為について」(平成29年8月14日付国自旅第75号)です。

タクシー業界からの圧力によるものではないかと思うのですが「通訳案内士のガイド時の運転は一切認めない」というものでした。

https://www.mlit.go.jp/common/001246137.pdf

ボランティアガイドが、車に乗せてゲストを案内するのは(無償だから)問題にもならないのに、プロのガイドが車を乗せてゲストを案内するのは禁止、というのは、わかるようで、分からない、通達でした。

これにより、今回の通達が出るまで、通訳案内士が車でガイドすることは出来なくなってしまい、もしやるのであれば、自分がタクシー・ハイヤー会社で働くしかなくなってしまったのです。
(一部エコツアーの特例地域等はありましたが。)

地方に行けば、公共交通機関を使って観光地を巡るのは至難の業です。
とはいえ、タクシーもチャーターして、ガイドも雇うとなると、相当なコストがかかってしまいます。

結果、相当な地方におけるインバウンド観光の足かせになっている状態でしたし、個人的には改正を望んでいたポイントでもありました。

どこらへんが今後の論点になりそうか!?

それを受けて、今回上述の「道路運送法における許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインについて」が出たのは、とても喜ばしいことです。

実際に、これを運用していくにあたり確認したいなと思ったのはこのあたりで、あまり論点は多くないかなと思ってます。

(国に確認が必要なこと)

  • 具体例で挙げられた「通訳案内士『等』」はどこまでを含むのか。
    • 「国・地方公共団体及び公益社団法人日本観光振興協会並びに公的機関が認定・付与する資格を有する観光ガイド」とあるが、現状、全国通訳案内士と地域通訳案内士以外に何を認めているか。
    • 国内のエコツアーガイド・山岳ガイドやインバウンドの資格を保有していないガイドは対象になるのか。何をもって判断するのか。

(保険会社に確認が必要なこと)

  • 自家用車を業務中に運転していて事故をした際に、保険で自分もゲストも補償されるか

このあたりは、確認でき次第補記していければと思ってますが、何か他に気になる点があれば、コメント等で下さい。

テンション上がって、2投稿連続でガイド関連のことを思わず書いてしまいました。

この風に乗って更に盛り上がっていきたいですね。

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