「ねぇねぇ○○って、最近転職したか知ってる?」
最近、ある友人が外資系生保の営業職に転職したところ、共通の友人から連絡が来ました。
あ、こういうの本当にあるんだなぁと感じたとともに、悲しいすれ違いが起きないように個人的に感じることを書こうと思います。
ちなみに自分自身、損害保険業界という生保の隣接業界にいました。
久しぶりに小学校の友達にあった時に、
「保険会社なんだぁ、辞めた方がいいんじゃない?」と軽く言われ、
世間から保険社員がそんなに良く受け入れられていないことを実感したことがあります。
その後、転職する中で、外資系生保のことを調べる機会もあり、
転職する気はなかったものの、採用の話を聞きに行ったこともありました。
そして、今、友達が転職し、友達が勧誘される状況になっています。
人よりは、業界のことを知ったうえで、客観的に語れるかなぁと思って、これを書くことにしました。
(※あくまでプルデンシャル生命、ソニー生命等の営業マンを前提に、知っている知識の中で記載するもので、
違うケースが存在することもあると思いますのでその点はご了承ください。 )
友達を失い、機会損失も産む、悲しいすれ違いの実態
悲しいすれ違いの一番最たる例とは、
勧誘される側は「あいつから生保の勧誘かかってきた?めんどくさいね。ちょっと距離置こう」となってしまい、
一方で生保に転職した人は、「みるみるうちに友達を失い、孤独になってしまい、再び転職してしまう事」です。
生保に転職した人は多くの友達を失うリスクがありますし、
一方で、生保に転職した人と距離を置くっていうのも、1人の友達を失う可能性があります。
生保で成功した人の中には、そのように友達を失った先にしぶとく立ち上がった人もいます。
ただ、もっとうまい立ち上がり方もあるし、もっとうまい付き合い方があります。
生保に転職したっていうだけで距離を置いてしまうの悲しいことです。
それと同時にもうちょっと引いた視点でももったいないな、と思うのです。
保険って、「家の次に人生で高額な買い物だ」と言われることがあります。
実際、相当な額を月々支払うことになります。
その一方で、家と同様、素人にはよくわからないものでもあります。
自分もFPの資格を持っていますが、実際に病気になったらどのくらいの額がかかって、
社会保険からどの程度が支払われるのかなど、よく理解できていません。
結婚することになった、子どもが生まれた、子どもが大学を卒業した・・・
いろんなライフイベントのたびに必要な補償は変わっていきます。
GNP(義理・人情・プレゼント)で営業していた保険のおばちゃんをはじめ、
最近のスーツ組の生保営業マンでもここら辺に詳しい人は多くない印象があります。
つまり、殆どの人は、
適切な保険(必要十分な保障)を購入できていないんじゃないかと思うんです。
ここは結構経験(と勉強)がモノを言います。
そして、ライフイベントを察知するその人への興味・関心も大事な要素です。
人の出入りが激しいために、いい生保の営業マンは育ちづらいし、
逆に、ホントは近況を知ってて親身になって相談できる生保に転職した友達と距離を置くことで、
適切な買い物を避けているのも実態です。
(友達に資産状況を知られるのが嫌だ、というごもっともな意見もありますが。)
最初の転職したばっかりは、
確かに、提案力が低すぎるのも事実ですが、
そこが友達としての付き合い方の肝なんだと思っています。
電話がかかってくるのは仲がいい証拠
そもそも、なんで生保に転職した友達から電話がかかってくるのか…。
「あいつもノルマがあって、身近なところから売ろうとしているんだろう」
これは半分正解ですが、半分は誤解です。
言ってしまえば、そこまで生保を知らないまま業界に入って、
知らないだけに、言われるがままに教育研修をこなしているだけにすぎません。
外資系生保に代表されるスーツ生保営業マン(≠保険のおばちゃん)の基本思想は一緒だと思います。
- 保険営業の基本は紹介(口コミ)により成立
- 営業の流れはターゲットリストアップ⇒ヒアリング⇒提案⇒クロージング⇒紹介獲得であり、各プロセスのコンバージョン率を高めることが重要
- 転職した人は手始めなヒアリング先として、まずは友達を100人リストアップしてアポどりをするのが営業の第一歩
- 営業マンとして一人前になるため(生保の営業マンとして自走するため)には、クロージング以上に紹介獲得が大事
- 紹介を獲得できないと、友達が多い人は初めは勢いよくスタートできるけど、いずれ失速し、衰退していく
これです。
転職すると、「友達を100人リストアップしようね」というのがほぼ行われています。
んで、「じゃぁその100人に電話してアポを取ってみよう」っていうのが始まります。
でも悲しいすれ違いが最初に往々にして起こりがちなのが、
この電話が、ぎこちなさすぎて怪しいということ。
上司によっては多少のロールプレイをして鍛えるのですが、
とはいえ、保険の営業マンって個人事業主性質も持っているので、
自分でやって学べ、という傾向があります。
ここで、冒頭の
「ねぇねぇ○○って、最近転職したか知ってる?」
っていうやり取りが、友人内で起こるわけです。
安心してください。
電話がかかってくるっていうことは、
その人が仲がいい人としてリストアップしてくれたということです。
特に、すぐかかってきたってことは、すぐリストアップされたってことです。
嬉しいことじゃないですか。素直に喜びましょう。
そして、余談ですが、勧誘する側もぎこちない電話するくらいなら、
もっとぶっちゃけた状況を話した方がいいように思います。
中途半端にロープレの型にはまった会話をされると旧知の仲なのに更にぎこちなさを感じます。
「友達」からの生保の勧誘は必ずしも入らなくてもいい
もう一つ行き違いが起こるのは、
勧誘される側が「あいつのノルマにつき合わされて加入しないといけないのかな」と警戒し、
勧誘する側も新人同士で競争させられて、上司から睨まれて「無理に成約を急ぐ」ということです。
無理に急いでいる人は成約も急ぎますし、紹介獲得も焦っています。
でも、満足していないのに、「誰か友達紹介してよ」とごり押しされるのは、
ホント友達を売るような感じになってしまうので御免です。距離を置きたくなる一因です。
(体育会出身の人の中にはこういうスタイルで成功した人がいるのも事実だと思いますが。)
紹介をうまく獲得できない人は、何度も何度も同じ人にアプローチさせられるので煙たがられます。
ここに溝ができると、距離感はみるみる遠のいていきます。
上述の通り、長い目で見た時に大事なのは、
あなたの1件の契約ではなく、紹介を獲得できるかどうか、です。
そして、もう一つあまり意識していないことですが、
生保の営業マンは「ほぼ歩合制の個人事業主」ではあるものの、
多くの会社が最初1-2年は売れなくても食べていける最低賃金の補償をしています。
つまり何が言いたいかというと、
転職してすぐの時に、1件保険に入ってあげたからと言って、
「保険入りたい人いたらあいつを紹介してやろう」ってならなければ、
いずれ落ち込んでいく可能性も大きいです。
そして、1件入ってあげなかったところで、
そいつはすぐに死ぬわけじゃないってことです。
だから、「あぁ必ずしも入らなくてもいいんだ」って思って話を聞いてあげればと思いますし、
勧誘する側も「こいつを紹介したいぜ!」って向こうに思われるまでは、
クロージングも焦らないことが大事だと思います。
大事なのは「友達」の提案力・営業力を磨いてあげること
転職したばかりって、経験も知識も不足しているので、
本当に頼りない提案が出てくることも多々あると思います。
本当に友達のことを思うなら、大事なのはそこで加入してあげることではありません。
本当に友達のことを思うなら、経験と知識を身に着ける実践の場を提供してあげることです。
わからないことがあったら、ビシバシ聞きましょう。
疑問に思ったら放置せず、とことん追求しましょう。
「2年後、自分が○○癌になっちゃったとしたら、治療費として大体どのくらい平均でかかって、
どのくらいは社会保険でカバーされて、どのくらいの補償を用意しとかなきゃいけないのかな?」
「その5年後更に別の△△の癌になったら、それって保険でカバーされるの?
保険料ってどうなんだろう?」
きっと鋭い質問をし過ぎると、わからなくて、わからないなりに頑張ろうとし過ぎて、
それがさらに頼りなさそうな雰囲気を醸し出しちゃうこともあると思うんです。
それも暖かく見守って。
誰だって新人の頃はそんなもんです。
でもその人が立ち上がっていったら、
人生で2番目に大きな買い物の良きアドバイザーになってくれるはずです。
本当に友達のことを思うなら、そして自分もいい買い物をしたいと思うなら、
納得いくまでその友達の提案を打ち返し続け、提案力・営業力を磨いてあげましょう。
もし磨ける見込みがなければ、筋が悪いとちゃんと伝えてあげることも、
変に情けで保険に入ってあげるより、その人の決断を早められるのでその人のタメかもしれません。
いっそこの投稿を見せて、入る気ないけどそれでもいいなら話聞くよ、くらいでもいいと思うんです。
勧誘する側も、煽られて、成績に一喜一憂しますが、焦らず行くことが大事な気がします。。
最初の成績は友達の多さ・深さに比例したりしますが、いずれ、ちゃんと営業力のある人が勝ちます。
個人的には、保険の営業マンって、
死ぬまで生保やるぜっていう仕事への愛があって、
税理士系知識と社労士系知識を十分に持ったマメなFPが最強かなと思っています。
磨いてあげれば、最終的に加入しなくても、その友達のタメにはなるんじゃないか、と。
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そんな言い訳を先にしておきながら、
別にネット生保から切り替える気もないけど、来週、生保に転職した友人と会う予定です。
ちゃんちゃん。
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