通訳ガイドは本当に足りないのか!?

観光雑感

「ガイドは今後の観光において重要だ」
「通訳ガイド・通訳案内士が不足している」

これは、コロナ前から度々耳にしてきた課題感でした。

水際対策が緩和され、再び主張は大きくなり、様々な事業でも取り上げられたりしながらも、桜シーズンを前に、再び、緊急でのガイド探しが飛び交っています。

通訳ガイドは本当に不足しているのか!?

ここまで皆が「足りない」って言っているのに、なぜあえてこの問いをするかというと、ある意味では足りないのですが、ある意味では足りてるんじゃないかと思うからです。

これは、通訳ガイドに限らず、人材全体に言えることです。

リストラして大量解雇している会社であっても「人が足りない」って言っていることはよくあります。
「人が足りない」って言ってるのに、一方で「解雇をしている」のは何なんだ。

例えが極端になりましたが、結局、「人は沢山いるのだけど、求めている人がいない」という状況はどこでも発生しますし、ガイドに関しても、やりたいけど機会を掴めない人がいるのもまた事実です。

ガイドは足りてない状況が本当に起きています。

ただ、頭数がないんじゃなくて、「求めているガイドレベルを、求めている報酬で提供してくれる人が足りてない/見つけられていない」というが問題のポイントです。

ガイドを増やすために必要なのは教育か!?

「ガイドが足りないから育成事業をやります」
「観光人材を育てるために大学に補助金を出そう」

この数年、そんな動きが起こっていて、自分たちもそれに携わっている部分もあるのですが、個人的にはそんな対応の限界と、もっと違ったアプローチの必要性を感じています。

問題は、頭数が足りないわけでもないし、「求めているガイドレベル」はそんな簡単にすぐに満たせるものでもありません。問題の解像度をあげないと、解決策にはたどりつけません。

「ぶっちゃけ、年10回×半日/1日のカリキュラムで何か変わる?」

これまた、通訳ガイドに関わらず、人材全体に言えることなんだと思うんです。
人は、どうやって成長するだろう、と。

自分自身、学校に行ったり、塾に行ったり、色々してきたけど、そこでどれだけ成長できたか振り返ると、疑問に感じることもあります。
大学受験の塾なんて、比較的変な講師も多かったのですが、教え方が巧かったというより、モチベーションの挙げ方が上手だったんじゃないかと、個人的には理解してます。

各地域でのガイド育成事業にも全力で取り組んでいるのですが、逆説的に、ガイド育成事業の限界を感じているのも事実です。

1年間で数百万から1千万円程度の予算規模では、全ての人の人生を大きく変えるのは難しい。

一方で、Googleに優秀な人材が集まって、素晴らしい成果を出しているのは、Googleが人を育てているというより、優秀な人が門戸を叩き、優秀な人たち同士で勝手に刺激し合って、アウトプットを磨いて行っているからではないでしょうか。

では素敵なガイドを増やすにはどうするべきか!?

自分たちのツアー事業をやる傍ら、ガイドコミュニティを立ち上げて、今も力を入れているのは、こうした課題への挑戦でもあります。

「人を育てるカリキュラムを提供する」のはもちろん、「優秀な人にガイドになりたいと興味を持ってもらうこと」、そして、「その人たちが自然と切磋琢磨して頑張っていく環境を用意すること」これができてこそ、研修の場もさらに有意義なものになっていくんじゃないかと考えています。

面白い人が集まる場所って面白いし、新しい面白い人にも興味を持ってもらえてさらに面白くなるんです。

昔から、色んなイベントや飲み会の企画をやることも多かったのですが、特にアイディアのない自分がいつも気を遣っていたことは、「盛り上げてくれる中心的なメンバーにちゃんと来てもらう事」でした。これだけで、場は盛り上がる。特に面白い企画をしなくても、なぜか自分の評価もあがる。

コミュニティが拡がることで、コミュニティ企画の研修だけじゃなく、自治体と一緒に実施するガイド研修の参加者の層も拡がり、結果より有意義な研修に繋がっているように感じます。

自治体と一緒に企画する研修においても、宿題を取り入れたり、ガイド間のネットワークを意識したり、オンタイム以外の時間への波及効果を意識しながら研修を提案しています。

最後は「儲かる」場がそこにあるか!?

あと、大事なのは、頑張った先に果実があるのか、です。

受験勉強頑張ろうって、自習室で頑張るのは、その先に明るい未来が待っているから。

「ガイドが儲かる」ってなれば、今はガイド以外で活躍してる人がガイド業界に飛び込んできて、一気に「求めているガイドレベルを、求めている報酬で提供してくれる人」は充足するはずだ、という仮説を持っています。

なので、研修においては、C2Cのマッチングサイトの使い方を教えたりしますし、ガイドコミュニティJapanWonderGuideでは、エージェントとガイドのマッチングの機会を、交流会やウェビナーで創っています。幸い、コロナが明けて、勝手にガイドの報酬基準が右肩上がりの傾向にあるのは、旅行会社としては悩ましいですが、ガイドコミュニティ運営者としては嬉しい限りです。

先日、メルマガで、「ある旅行会社が春のガイドに困っている」と投稿したところ、20-30人のガイドさんから旅行会社に問い合わせが行ったようで、対応が大変だ、と嬉しい悲鳴を上げているエージェントの声がありました。

まだまだ仕事のマッチングも効率的に行われていない中で、コミュニティが果たせる役割も大きいなと感じています。

ガイドとエージェントの交流会も定期的に開いているのですが、その場でよくビジネス経験豊富な定年後にガイドを始められた方から、よくいただく質問があります。

「自分たちのガイドを、他のエージェントに紹介しちゃって大丈夫なのか?」

ガイドの予定の押さえあいになっている状況下で、その論点は大事ではあるのですが、マーケットが伸びていて、供給量が追い付いていない中で、自分たちが取るべき戦略は、パイの取り合いではなく、市場の拡大だと考えています。拡大させるためには、稼げるガイドを増やす必要があります。綺麗ごとを言えば、自分たちの利益より、社会へのインパクトを優先するということですが、結果的にそれが自分たちの利益にも大きくなって戻ってくると信じています。

稼げる仕事を持っているけど、ガイド探しに困っているエージェントの方。
一緒に、イケてるガイドを日本国内中に増やしていくトレンドを創りに行きませんか。

ガイドとして活躍されている方、ガイドに興味を持っている方。
是非、一緒に日本の観光を盛り上げていきましょう。

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「通訳ガイドは本当に足りないのか!?」というと、本当に足りないのですが、JapanWonderGuideというガイドコミュニティでガイドをはじめ、協業する旅行会社や事業者と手を取り合って、自治体事業もうまく活用しながら取り組んでいけば、確実にガイドが輝いて活躍し、人気の職業になっていける=たくさんのガイドが活躍する世界観を実現していけると思ってます。

自分達だけでは全然力不足なので、是非一緒に日本の観光を変えていくべく、ご一緒できればと思っています。
(興味を持った方は是非お気軽にご連絡くださいm(_ _)m)

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