竜神大吊橋で見た観光の値決めの現在地と可能性

観光雑感

「どうやって価格をつければいいですか?」

観光事業者からよく聞く質問です

「値決めは経営である」と稲盛和夫さんが言ったように、業界問わずプライシングってとても大事なことですが、こと観光業界においては、ことさらに改善の余地が大きいように感じています

17000円の○○と320円の△△

先日、茨城県は常陸太田市にある竜神峡にお邪魔してきました

東京に住んでいる人であれば、「あぁ日本一のバンジーの場所ね」と思い浮かぶ人もいるんじゃないでしょうか

そう、高さ100mから飛び降りるバンジージャンプです

高所恐怖症の自分からしたらクレイジー以外何物でもありません

(ちなみに、自分自身知らなかったのですが、いつの間にか日本一じゃなくなっており、現在の日本一は2020年にオープンした岐阜県八百津町のバンジーで215メートルです)

このバンジージャンプ、多くの方は、「あんな高さからなんで好き好んで飛ぶんだ!」って感じて、値段すら見たことないかと思いますが、おいくらだか、知ってますか!?

100mから飛び降りる、そのお値段、何と!17,000円です!

色んな意味で、たかっ!

ちなみに、高ければ高いほど、高いようで、岐阜は215mでお値段、36,000円!!
・・・がコロナ期間中に付き、25,000円!めっちゃお得!・・・とはならない高さです

いや、このお値段でも、飛ぶ人がいるんですよ
だから成り立っている
高い=おかしい、ではないですし、これも一つの戦略であり、経営です

ちなみに、飛び降りる竜神大吊橋は、観光のために作られた歩道橋です
通り抜けるためのものではなく、行って戻ってくる橋でもあり、渡橋料が必要になっています

この渡橋料は320円です

え、橋渡るのに320円もするの!?って思います?

個人的には安すぎるなぁっていうのが雑感です
安い

値付け的にみても、バンジーは民間、橋の管理は官がやっているのでしょうか

価格を決める3つの切り口と今後求められる柔軟性

自分たちがツアーの価格を決める時、3つの切り口から値段の検討を進めています

  1. 原価を積み上げて利益を乗せて決める
  2. 競合等をベンチマークして決める
  3. ゲストが感じる価値をベースに決める

どれか一つを基に決めるというより、いくつかの要素を組み合わせて考えます

全てで均等に利益を出す必要もなく、「売れ筋」「見せ筋」「儲け筋」を分けて総合的な利益を最大化する必要はありますし、観光で行くと公共的な考え方も必要です

「住民の人生の豊かさに貢献するために、無料で開放するべきだ」という考え方も一つですが、もっと地域は値決めを戦略的にやっていくべきだと感じています

320円って、何とか経費にはあてつつも、団体旅行を誘致するための価格なんだろうなぁ・・・っていう印象を受けました。これで人件費とか、メンテナンス費とか賄えているんだろうか、、、
「来場者数」が追う数字としてあった結果なんだろうな、、、

金額を下げると確かに安くなりますが、その分サービスに割けるコストも小さくなります
そうなると、満足度をあげようにも工夫の余地が小さくなる

「安くしよう」とか「低い金額ありき」で物事を考えるのではなく、今後は最適化を考えていく必要があります

320円で、来場者の満足度が最高なら言うことはありませんが、きっとそうではありません
もしかしたら1,000円にして、写真スポットを整備したほうが、満足度はあがるかもしれない
3,000円にして、ジオツアーを必須にするという方がファンが付く可能性も大いにあります

値段上げたら、来場者が少なくなるっていう方もいるかと思いますが、
320円を1000円にしたら、3分の1の人数がくれば、同じ売り上げがあがるようになります
少なくったってやっていけます

お土産屋にくる人数も少なくなるっていう声もあるかと思いますが、
1,000円の入場料を払う人の方がお土産に使うお財布も大きかったりするので、
人数では全ては計れないっていうことになります

きっとインバウンドが再開したら、「観光公害」という言葉をまた耳にするようになるかと思いますが、そうした観点からも、もっと値決めを戦略的に使っていくべきです

いつまで「人数」を追い求めて、団体にすがる観光を続けるのだろう

地域が豊かになるための観光を考えなきゃいけない

もっと値決めには改善の余地があるなぁと感じたのでした

「地域が豊かになるためなら地元の人のためにも安い方がいいじゃないか」というのなら、地元の人だけ安くすればいいんです

インディジョーンズでおなじみのヨルダンのペトラ遺跡は、自国民は150円に対して、外国人は50倍の7,500円。ディズニー並み!

個人的には都庁の展望台も、日本人は無料、外国人は有料とかにすれば、いっそスカイツリーや渋谷スカイに人も流れるでしょうし、観光消費は高くなるはずだと思ってます

IT技術等も進歩した今、国籍だけじゃなく、日付・時間帯・天気によって値段を変えるようなダイナミクスプライシングも今後検討していく必要があると感じています

清水の舞台から飛び降りる気持ちで・・・

んで、バンジージャンプ飛んだのか!?って話なのですけど、

雨だったので、、、

、、、

飛びました。

高所は本当に嫌いだし、足はものすごいすくんだのですが、観光名所だし、一回くらい体験しておかなきゃなっていう、職業病です

「まぁ日本で多くの人が飛んでるし、安全だろ」っていうのはありましたが、飛び込み地点に立って、つま先をちょっと踏み台から先に出して、手を離した時は、帰ろうかな、と思いました

バンジージャンプの人の掛け声が、「ごっよんっさんっにっいち!」って想定の3倍くらい早かったのでもう思い切って落ちました

ちなみに飛んだ時の写真をスタッフの方が撮っててくれてて、終わった後に見せてくれました

おぉ、我が雄姿

「この写真全部のデータで4,000円です」

よ、四千円か。

写真貰っても、一時的にSNSに載せて、みんなからいいね貰って、、、それに四千円払うか・・・と思ったら、別にいいかな、、、って思った自分がいました

でも、買う人もいるだろうなぁ

でも、自分が経営の立場なら、17,000円を19,000円位にして、写真付きにしちゃうかな、とか思ったり。そしたら、勝手に拡散してくれるだろうし

本当に「値決めは経営」です

値段決められないから一歩を踏み出せない人も多い気がしますが、市場があとは磨いてくれるので、とりあえず、信念もって進むのが一番だと思ってます

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