第12話 OTAに20%の手数料を払う!?タイミングを逃さないということの大切さ

ツアー誕生ストーリー

今でこそ、OTAの掲載方法等を講演で話させてもらうこともあるが、ツアーをはじめてしばらくは、自社サイトからの予約が大半を占めていた。

3000円でサイトを創り10,000円位で改良した自社サイトが中心だった。
ツアー開始早々Voyagin(現楽天Experience)は活用をしていたが、僕たちも口コミをそこまで蓄積できておらず、多くの予約には繋がっていなかった。

当時、TripAdvisorは今ほどViatorとの連携が強くなく、単なる口コミサイトで、自社サイトへの誘導が強かったし、Viator自体も、1商品載せるのに初期費用や月額費用が必要で、今のようなサイトではなかったという背景もある。
そのような中で、10%~20%と言った手数料は、僕たちにとってはとても大きなコストだと感じていたこともあって、Tripadvisor⇔自社サイト、一本足に近い状態だった。

ある程度立ち上がってきた中で、販路を広げるために、手数料は割り切ってOTAに手を出すことになるのだけど、結果としては、乗り遅れなくてよかったなと感じている。

OTAって、口コミの影響が強いだけに、波に乗ると好循環に入れるが、逆において行かれると逆転はそう容易ではない。
今日はそのあたりの話に触れようと思う。

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1万人を超えるゲストを迎えたツアーの誕生から現在までの7年の成長記録です。 ツアーの企画・運営に興味がある方は是非ご覧ください。ツアー造成・ガイド育成・販路拡大・OTA活用等のリアルが見えてきます。

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自社サイトは安いのか、高いのか

「OTA20%も取るの!?高いね!!」

OTAの説明をするとよく言われるし、僕たちも同じような反応だった。
もうちょっと正確に言うと、Airbnbが今20%~、Viatorは22-24%~と20%以上になってきているけど、当時は10%、15%、20%とサイトによってもちがければ、サイトによって交渉したら10%にしてくれたりもしていた。
しかし、10%でも高いなと感じている自分たちがいた。

宿泊のOTAに比べても高かったし、決済手数料と比べると何にそんな使ってるんだろう、くらいに感じていた。

だけど、振り返ってみると、まぁ妥当だなと感じる自分もいるし、むしろOTAからはじめたほうがいいよ、とすら思っている。

なぜか。

自社サイトを創るのにもお金がかかるし、維持するにもお金がかかるし、サイトに来てもらうにもお金がかかるからだ。

「自社サイトだったら、決済手数料だけで済むのに、OTA高い!」
これは間違いだ。

地域に行くと、行政の事業(=税金)でツアーを販売する自社サイトだけはカッコいいの作ったけど、次年度維持できずに閉鎖したり、維持はしているけど、鳴かず飛ばずで「ゲストが来ない」となってしまうケースもある。
3000円のスモールスタートでいいんだと言ったけど、もはや、3000円すらかけずに、OTAだけでスモールスタートするくらいでもいいと思っている。

自社サイト作ってみればわかるけど、1日に数ページビューしかなく、「あ、このうち3ページビューは身内かも」みたいな悲しいことは起こる。
よし、「Googleに広告出せばきっとくるに違いない!」って思いたって、グーグルの広告を操ってみてもそもそも素人には難しいし、1クリック単価が100円以上かかったりすることもある。
100円でツアーが売れればいい。実際には、100人サイトに来て1人買ってくれればいい、みたいな確率だと、100円×100人=10,000円の広告費を払わないと、申込が来ないことになる。

お客様に見てもらうっていう点だけでも、Googleにお金を払うのか、OTAにお金を払うのか、という話になってくる。
それであれば、成功報酬の方がリスクは小さい。
もし既に、自分がインフルエンサーだったり、多くの人を惹きつける導線を持っているんだったら、自社サイトもよいと思うけど、そのあたりのバランスは見たほうが良い。

自社サイトは安いわけではない。

思い立ったが吉日

2016年ごろは、OTA起業ブームが起こっていたのか、世界各国から営業のメールが飛んできた。
「ユニークなツアーを集めたサイトを創ろうとしている。ぜひ載せないか?」

Viatorのサービス体系がいつ変わったかとかは覚えてないけど、初期はViator/GetYourGuide/Cookly等のサービスを活用していた。
OTA活用までは営業メールも断っていたのだけど、ある程度OTAで集客が出てきてからは、とりあえず新しい所にも、一番王道なツアー築地ツアーは載せてみることにした。

1人でもゲストが欲しい、というのもあるけど、とりあえず試してみよう、という想いも大きかった。

それは冒頭に記載したように、波に乗ると好循環に入れるけど、置いてかれると逆転が容易ではないということもある。
僕たちは幸い早い段階でTripAdvisorの口コミを優位に蓄積することが出来たし、Viator、GetYourguideでも他社より早く口コミを蓄積できた方だと思う。これは大きかった。

一方で、機を逸してしまったと感じているのはAirbnb experienceだ。

AirbnbはCtoCというサービス上、サービス立ち上げ当初企業が求められていなかったので、乗りようもなかったというのもあるのだけど、気付いたら築地本願寺前にあるガイドさんが毎日たくさんのゲストと集合する風景を見るようになった。
初対面なのに親しげにファーストネームで呼んでいる。

「何だろう」って思ったけど、ある時、「あ、これがAirbnbの新サービスか」と気付いた。
でも気付いた時、既に遅し。
結局1周遅れでAirbnb experienceにもAirbnb用の商品を作って参戦したのだけど、差は拡げられる一方だった。

ココっていうタイミングを逃さない瞬発力は必要だという反省になっている。

今、日本国内を見ると、大手のOTAでは、東京・京都はだいぶ飽和して追いつきづらい状況になっている。
一方で、Viator/GetYourGuide/Airbnb等でも地方に行くとまだまだコンテンツがなく、今から頑張ればNo.1になれる状況だ。

「はじめるなら今だ!」
2017年くらいからずっと講演とかで言ってるのだけど、実際動く人は殆どいない。

アイディア云々より、行動するかしないか、それが全て

OTAであっても人と人

ちなみに余談だけど、OTAを活用する中でも、活用方法を探ったり、上位表示できないかといろんな試行錯誤をした。
振り返ってみると、一番は、中の人と繋がってどうすればいいかを聞いてみることだった。

Viatorは当時日本にオフィスはなく、サンフランシスコにチームがいたのだけど、たまたま、経産省かなんかの事業のイベントで来日するということを耳にしたので、そのイベントに突撃した。
そして、ツアーの魅力の伝え方の話じゃないけど、OTAの担当者をツアーに招待した。

担当者の方にも口コミ書いてもらったりしながら、仲良くなることで、「今度こんなキャンペーンやるから、ツアー用意しておいたら?」みたいな話もするようになったし、「特集のツアーに1個入れておいたよ」みたいなコミュニケーションもあった。「どうしたら上に表示されるかな?」担当者もアルゴリズムは把握はしていなかった(教えてくれなかった)けど、経験則的にアドバイスはくれた。

結局は人と人。

それが旅の魅力でもあるし、観光でビジネスをやっていく上で大事なことでもある。

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