読みたい本が山積みになるなか、久しぶりに一人の長時間移動の時間がありました。
行き先は東北。
このタイミングで読む本はこれしかないだろう、と発売直後にAmazonで買っていた本をやっと手に取りました。
「ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか」
「ハーバードってやっぱすげーなー」っていう感想以上のものを考えさせられながら読みました。
多分、普通の読者と目線はだいぶ違うと思うんです。
観光事業を行っていて、ここ1年は東北の観光もお手伝いしていること。
ハーバードの人も周りにいたり、MBAで学んでいる人がどんな人なのかも想像つくこと。
そして何より、著者も含め、登場人物の何人か日本人の顔が浮かぶこと。
なんていうか、ハーバードってやっぱすごいね、とか、
このカリキュラムすごい楽しそう!っていうのはありつつも、
東北の人頑張ってんだな、っていう以上にこんなことを感じました。
東北にこんな資源があること初めて知った!
なんていうか、恥ずかしながら、登場した企業のストーリーを全然知りませんでした。
というか、大七酒造や秋保ワイナリー、フィッシャーマンジャパンの名前を知っている程度で、
他の企業・団体については、名前すら知りませんでした。
一般的には知らなくて普通くらいの知名度なのかもしれません。
でも、この1年間、東北が売り出していきたい自治体・地域から、
インバウンドでウケそうなコンテンツを吸い上げたり、幅出ししてたりしてたんですよ。
で、実際にモニターツアーを組むときに地図とかネットとかで情報収集もしたんですよ。
その結果・・・
知らなかった。
でも・・・
面白そう。
面白い人がいっぱいいる。
なんだかここに、観光と自分たちがやってきたことについて課題を感じました。
・地方・各自治体がどの程度、自分たちの資源を把握しているのか
・国、地方、県、市町村、事業者、いろんなレイヤーの人がばらばらに動いていていいのか
・どうやれば、こういう面白い事業者たち、ストーリーを見つけることができるのか
それと同時に可能性をすごーい感じました。
・もっともっと面白いコンテンツは眠っているし、活用できてない資源はたくさんある
・国、地方、県、市町村、事業者と一丸となって動けば物凄い力になりそう
・っていうか、なによりも、やっぱり事業者あってこそ
特に今回の受け入れ先は「人間力」「志」軸で選定されているように思うけど、
「ストーリー」は大きな力を持つな、と改めて感じました。
そういう人たちをうまくつなげていけたらもっと大きな力が出せるはず。
ただの観光ではない経験をどう創っていくか
もう一つ感じたことは、
「このプログラム楽しいだろうなー、特に、HBS(ハーバードビジネススクール)のような人たちにとっては。」ということ。
このプログラムの完成度は本当にすごいなと思います。
でも個人的には、HBSの学生がこのプログラムをとった理由に目が行きました。
「日本には行ったことがなくて、どうせ行くならただの観光客では経験できないプログラムで行ってみたかったから」
よく言われることではあるけど、
この「ただの観光客では経験できないプログラム」をどうやって創るかが個人的には挑戦です。
このプログラム自体は、HBSの人だから楽しめるし、Win-Winの関係を残せるものだと思います。
学びたい人はいても、相当なファシリテーターがいないと学びの場は創れないし、
そもそも、相当の能力があって付加価値を出せないと、受け入れ先をアレンジすることも難しいでしょう。
また、単にHBSというだけでなく、
授業の単位と連動して、お金を払って参加していることもコミットメントを高めてる一因だと思います。
でも「ただの観光客では経験できないプログラム」を求めるニーズは、万国共通。
これは間違いないと思うんです。
「ただの観光客では経験できないプログラム」は、
普及すると「ただの観光客が経験できちゃうプログラム」になってしまうジレンマを抱えるけど、
安定的に供給していくには、どうしたらいいのかなー、と新幹線の中で考えさせられました。
何ができるんだろう。
ニッチなニーズにこたえていくというのも一つの道かなと思ってます。
そんなこんなで、
MBAに興味がある人や、東北でどんな学習をしたんだろうって思う人だけでなく、
東北で、いや、日本で観光に携わる人にも、一読の価値ある本だと思います。
個人的には、世界一周して以来、
意外と外国人って日本人と変わらないんだなと思っているのですが、
外国人がどんなことに興味関心を持つのかのちょっとしたヒントにもなるはずです。
P.S. ハーバードがすごいなって思った一番の点
よく遊び、よく学べを実践しててえらいなー、
3日間でそのレベルの提案するのすごいなー、とかもありますが、
一番すごいなと思ったのは、HBS自体が進化を遂げている点でした。
「世界を変えるリーダーを育成する」という理念を掲げてきたが、本当に世界をよい方向に変えるリーダーを育成できていたのか?もしできていたら、そもそもあの危機(世界金融危機)は起こらなかったのではないか?自分たちの教育がむしろ原因を作ってしまったのではないか?
この内省ができるのもすごいし、
あくの強そうな230名もの教授たちがいる組織が変革できるところに、
HBSの強みがあるんだろうな、と感じました。
金融危機を機に、日本から外資系コンサル会社も縮小・撤退したのを見て、
アドバイスすることと実際にやること・できることの違いを垣間見ました。
「コンサル会社は自分の会社のコンサルができるのか?」
実際にうまく動けるところは一握りだと思うんです。
単に頭がいいだけじゃなくて、でかい図体なのに実際に動けること。
それが、強いな、ハーバード、って思った一番のポイントでした。
あー自分の会社も、優秀な方々に教材として使ってもらって提案してもらいたい^^;
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