インバウンド界隈が俄かに賑わってきました。
良い事。とても良い事。待ちに待った感があります。
ただ、悶々とすることがちょっとあるのでここで吐き出します
1.メディアと共に創られる空気感って何なんだろう
先日、日本テレビのZIP!に取材いただきました
「日本テレビのZIP!ですが、岸田首相が観光再開するって発言しましたが、ゲストとかの問い合わせとか増えてる様子を取材させてください」
(こんなストレートではなかったですが、こんな感じの趣旨でした)
5月26日のお昼ごろ。
実証実験が始まっていて
「夕方にも岸田首相が6月10日より観光客を受け入れの発表をする」っていう報道がされたタイミングでした
「いや、実証実験も、よく分かんない管理旅行で、海外は戸惑いの声もあるし、問い合わせもなければ、そもそもオペレーションが落ちてきておらず、問い合わせがもし来ても応えられません」
「もう既に数カ月前のビジネストラックの再開で、外国人は既に日本に来ていて、そのタイミングで少し変化はありましたが、現時点ではなにも、、、」
結局、5月26日に岸田首相が観光再開を発表し、5月27日に報道が多くされました
(ZIPに取材された内容はほんの一部だけ活用いただきました。ありがとうございました)
5月28日、29日の週末には10件近い問い合わせが海外のゲスト来ました
「日本に行きたいんだけど、ERFSの登録してくれない?」
ERFSって何だって思ったら、「外国人新規入国オンライン申請」に使うシステムみたいですね
外国人の方が、日本人よりっていうか旅行会社よりよく知ってる!皮肉なものです
週明け(5月30日週)に問い合わせに応えられず、観光庁に連絡したところ、「6月10日までには公表する」とのことでしたが、やっと6月7日に公開されました
その間も2社くらいテレビ局から問い合わせをいただきました
「6月10日に再開しますけど、6月10日のツアーとか取材させてもらえませんか?」
いやいや、まだオペレーションも落ちてきてないし、6月10日にビザ申請開始で、6月10日に観光客は入ってこれないから、、、
「え、あ、そういう状況なんですね。。。知りませんでした」
メディアの人が理解していないのだから、視聴者に状況が伝わるわけもないなぁっていう脱力感を感じました。
視聴者がそういった話題を求めていると言えばそれまでですが、何なんだこの茶番は。。。
観光客入ってこれるようになっても1日2万人制限だと、ほぼビジネス利用で埋まってしまってしまう可能性もあります
いや、凄い計算ずくで、ビジネスの話はひっそり進めつつ、海外アレルギーを段階的に和らげるために、あえてそういう空気感を出しているのかもしれない。政治家って、メディアってやっぱすごいんだな、と感じていたりもするのですが。
「インバウンドだけではなく、アウトバウンドも含め、1日の制限人数なく、早く行き来できるようになってほしい」
テレビの取材で一番伝えたかったことがカットされてしまったのでここで吐露しておきます
2.各種施策にどこまで付き合うのか
パッケージ旅行でのインバウンド観光客受入が6月10日から始まりますが、東京都では「もっとTokyo」が同じ6月10日にはじまります
しかも、2つの説明会は、同じ6月8日で説明会の時間が被っているという状況
時間がなくてお互い知らなかったとはいえ、それくらいちょっとずらしてよって思うのが事業者としての想いです
パッケージ旅行のインバウンド観光客受入も、ERFSの理解に始まり色々大変そうです
- 具体的なオペレーションを社内で理解しないといけない
- 対象となる医療保険の範囲も理解しないといけない
- 海外のゲストにも英語で説明資料を用意しないといけない
- もし海外のゲストが言うことを聞いてくれなかった場合の責任の所在は旅行会社?・・・なんだろうけど、その責任取れと言われても・・・
- 行程管理って言っても24時間張り付くわけじゃないし、ホテルに帰してからの行動の責任はどこにある・・・?
しかもこれが3カ月続くとか決まってるならまだ計算を立てようって思います。
ただ、もう裏では、自由に行動しているビジネス旅行者が沢山日本に来てるんです。
ビジネスの旅行者と観光の旅行者で行動の自由度を変えるってちょっと理解が出来ません。
「これ、理解したころには、もう既に違う動きになってそうだよね」
そうなると今動くべきなのか、、、というのが非常に悩ましいところ。
行程を管理しないといけないとなると、それなりのコストもかかるので、一部のゲストに限られそうですが。
そして、もっとTokyoはまた悩ましい課題です
都民からすれば「申込んだら安くツアー参加できる!」「参加時に身分証見せればいいのか!」っていう簡単な話です。旅行者からすれば最高の話
でも、事業者からすると、やらなきゃいけないこととストレスが大きくのしかかります
- 事前の説明ちゃんとしないとクレームになる
- 制度の理解の為細かいマニュアルを読まないといけない
- 申請手続きをしなきゃいけない
- 料金体系を複数設けなきゃいけない
- グループ内で都民と都民外がいる場合アナログに対応しないといけない
- 現地で確認するオペレーションを入れなきゃいけない
- 現地で対象外だった場合追徴の交渉をしなきゃいけない。断られたら・・・
いやーこれだけみると、もう面倒しかない。
割当件数も少ないので対応コストが1件当たりで見たら高く、2500円の割引原資があったら、1500円位は事務手数料に充てたいくらいです。
これに加えて、更にGo Toトラベルが再開するみたいな話があります
- 同じように理解の難しい制度の理解が必要
(JRのチケットは〇契という特殊チケットしかダメ、みたいな中小旅行会社からすると知らんがなっていうルールも沢山あって、前回は死にました) - 事後に至るまで調査に協力する事務コストが発生
- 料金体系はさらに複雑に(GoTo対象・都民、GoTo対象・非都民・・・という感じ)
- クーポンを計算して発行
いやはや、旅行者は最高なんだけど、事業者的には・・・
ぶっちゃけ、都民割もGoToなくても、夏休みは普通に旅行する人増えるよ
都民割やGoToやったら、一時的に観光業は潤うけど、疲弊して観光業から去る従業員も増えるだろうな
ってなわけで、どの施策にどこまで付き合おうか、というのが近々の無駄な論点だったりします
最初から思ってたことだけど、
事務負荷は、受益者である旅行者と税金で運営されてる事務局の間で対応して欲しかったなぁ
制度設計の難しさも分かるので、しょうがないとは思うのですが、1事業者のぼやきでした
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