日本人をダメにする西友の返金施策

日本人をダメにする西友の返金施策

先日、
西友が「生鮮食品100%返金保証」プログラムを開始するというリリースを見た。

このプログラムは、
「万一、ご購入された生鮮食品にご満足いただけなかった場合、
お客様が購入の際に受けられた該当商品のレシートをお持ちいただくことで、
お買い上げいただいた金額を返金します。」というものだ。

最初は、
「西友、面白いことはじめるな」くらいに好意的に受け止めていたが、
ふと考えてそのその思いに疑問を持った。

逆に個人的には4月1日以降西友を利用したくないなとすら思ってしまった。

「顧客満足度の向上」とは何か

西友は、顧客満足度の向上を掲げ、この施策をスタートする。

「西友の生鮮食品は競合各社と比べて価格や利便性では高い評価をいただいているものの、
品質・鮮度において改善の余地があることがわかりました」

だから、

「全生鮮食品カテゴリーの品質・鮮度の改善に本格的に着手することを決定しました。」

ということだが、ここまではとてもいいなと感じていた。

ここで、

「大きな成果を上げているウォルマート各国での同様な取り組みを参考に、
日本固有のニーズも踏まえ、日本版『生鮮食品 満足保証プログラム』を開発しました。」

となる。

「各国での同様な取り組み」について調べてみたところよくわからなかったが、
ここに疑問を感じた。

西友は2002年にもアメリカ・カナダ産の牛肉を国産と偽って販売した際に、
レシートなしでも申告すれば返金に応じるという方針を打ち出した
「返金文化」のある会社ではある。

ただ、本当にこのプログラムは顧客満足度向上に役に立つのだろうか。
このプログラムで向上を目指す「顧客満足度」とはどのような指標なのか。

確かに「不満だ」と言っている層が不満の声をあげなくなる効果はあるだろう。
ただ、彼らは「商品」に満足するわけではなく、
「無料で物を手に入れられること」に満足するだけだ。
商品に満足するわけではない。せいぜい不満足がなくなるということだ。

それを「顧客満足度向上」ということに違和感を覚えた。

不満を満足に、満足を感動に、
それがあるべき顧客満足度の向上だと思う。

正直者がクレーマーコストを負担する図式

メディアの声を覗いてみると、
「どんな不満でも、本当に返品してくれるんですか?」的な声が目立つ。

そういう声を耳にしながら、
やはりこのプログラムと「顧客満足度向上」がつながってこない。

今だって問題ある商品であれば、返品に応じ、返金しているであろう。
今回のプログラムで新しいのは、
「不満を『言えば』返金を受けられる。と『大きく打ち出した』」ことにある。

ここは、問題があったかないか、満足・不満足ではない。
言うか・言わないかだ。

「言う人」に、どこからお金が戻るか。
それは、「言わない人」が払ったお金だ。
「言わない人」が、「言う人」の費用を負担する。

その構造にも違和感を覚える。

自分は特段の事情がない限り言う気はない立場からすると、
「言う人」のコスト(クレーマーコスト)を負担したくない。

単に費用だけでないこのプログラムの問題

そして、単にコストを負担したくないという思いだけでなく、
他にも西友を応援したくないなと感じてしまった要因がある。

それは、
「日本人(消費者)をダメにしてしまう要素」が大きいと感じたことだ。

2つあるのだが、

1つは、クレーマーの助長。

前段で述べたように、正直者が馬鹿を見るような施策は応援したくない。
不満を言えば得をする、そんな文化を根付かせて欲しくない。

もう1つは、教育の放棄。

「言わない人」も決して全員満足しているわけではない。

「自分の商品の選び方が悪かったな」
「食べる時期がちょっと早かった(遅かった)かな」
「このくらいの値段だったら、この程度の味だよな」とか。
そうやって少しずつ、食を学んでいくし、それって結構重要なことだと思う。

原因を自分の中で持つことは、教育上大切だ。

「放棄」というと言い過ぎかもしれないけど、
「不満足があれば店側が責任負います」という姿勢は、
消費者を骨抜きにしかねないもので歓迎できない。

「日本固有のニーズ」が何かわからない。

「多くの人はそうはいっても何も言わないでしょ」
「不満を言いたい人にはお金握らせとけば黙るでしょ」

そういったところなのだろうか。

今後もっといい取組が出てくることに期待

勿論、
顧客満足度向上を目指すということは当然歓迎することだ。

始まってもいない施策であーだこーだ言ったところで、
実際はものすごくうまく機能するかもしれない。

大きなメッセージ性があるのは確かだし、
「返金額」という指標もモニタリングしやすいだろう。
もしかしたら、
返金した方が従来のクレーマーコストより安くつくのかもしれない。

でも。

なんだかね。

もっと、
「不満⇒満足⇒感動」×「食教育」的なプログラムを
どこかはじめて欲しい。

買ったものと満足度を個人が蓄積できて、
「トマト買うなら、〇〇で作られたものが☆☆だから好きなのよね。」と自覚出来たり、
「〇〇産のトマトが好きな方は、きっと△△産の□□もお好みですよ」とリコメンドできたり。

結果的に、
いいものを創っている人がさらに評価されて、世の中にいいものが広がり、
消費者の満足度、理解度、納得感が上がっていく。

そんな形を作れれば世の中素敵です。

1消費者として、そんなことを思った今日この頃。

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