今後の観光業界において「ガイド」という存在はとても重要だと考えています
「将来的にガイドは必要か?」という論点も耳にしますが、間違いなく必要です
もうちょっと丁寧に言えば、
「技術で代替される部分と人が担う部分で二極化する」という話ですし、
もっと雑にいえば、
「『ガイド』なんていらない。今後必要なのはエンターテイナーだ!」です
興味を惹く言い方は色々あるかと思いますが、
言い方の違いこそあれど、向かう方向性は一緒だと考えています
日本におけるガイド制度の問題点とは
「『問題』とは、理想と現実の差である」とするなら、まずは「理想」と「現実」を見てみます
理想:
ゲストを満足させることのできるガイドが沢山いて、
来訪者はガイドを通じて日本のことをより楽しみ、ファンとなる状態が出来ている
現実:
多言語を使って日本のことを伝えられる人も限られていて、
ガイドが欲しくても探すのも大変で、日本の魅力が伝わらないまま帰路についている
簡潔にまとめてしまっていますが、
言ってしまえば、ガイドの質・量ともに課題がある状況です
そんな状況を打破するべく、
業務独占となっていた通訳案内士法を平成30年1月4日に改正し、
五輪に向けても、日本各地でガイドの育成にも予算を張ってきました
しかしながら、コロナで受け入れられていないというのは置いておいて、
理想と現実のギャップが大きく埋まったかというと、徐々に徐々に、という状況です
ガイドがいることの価値とは
そもそもの大前提として、なぜガイドが必要か、という認識すら弱いように感じています。
「旅行商品は旅行会社がつくって、PRさえすれば、人は来てくれるんでしょ?」
「海外の旅行博に出展すれば、海外から人が来てくれるよね?」
大手中心に、そうやって実際に人を連れてきていた成功体験があるためか、
ちょっと前のデータですが、国の事業の多くは情報発信・調査・出展招聘に割かれています
![](https://2310.bunj.in/wp-content/uploads/nyusatsu.png)
「うちには英語話せる人いるからガイドはばっちり!」っていう場所もあったのかもですが、
「ガイド」に求められるレベル感も把握できていなければ、
その必要性を感じることはなかったかもしれません
商品造成や教育研修にあまり重点が置かれていないのは上記の割合から見て取れます
しかしながらガイドは、地域にとってもゲストにとっても大切な存在です
地域にとっては、地域の魅力をゲストに伝えてくれる媒介者でもあります
地域の魅力を伝えるということは、単にその時を楽しんでくれるだけでなく、
興味を持ったものを購買する可能性も拡がりますし、また来てくれる可能性も大きくなります
地域から考えると、
「たくさんお金を落としてくれる」人が「繰り返し来てくれること」は大きな財産です
ゲストにとっても、地域の魅力を伝えてくれる媒介者です
ゲストのニーズも変わってきていて、昔のようなスタンプラリー型の旅行から、
徐々にその土地の文化や歴史を楽しむストーリー型の旅行に変わっており、
楽しい場所にはまた行きたいとなります
ゲストにとってそこで会う人は、その土地の印象を決める大きな要素でもあります
音声ガイドではなしえない価値がそこにはあります
ただ、修学旅行時の添乗員さん、ボランティアガイドに慣れている日本の観光業界において、
「いいガイド」の必要性をまず共通認識していないという課題はあるように思います
必要性がわかってないから、取り組んでこなかったという状況です
有償ガイドの仕組みが立ち上がらない課題とは
さて、そんな大前提は置いたうえで、
なんで質・量の問題が解決に時間がかかるのかを考えていきます
問題は、複合的すぎて、「これです」って簡単に特定できるものではないと思っています
一般の方がガイドになるプロセスに応じてどういう課題が存在するかを整理してみました(図1)
もう課題だらけです
![](https://2310.bunj.in/wp-content/uploads/guide-issue.png)
何がキーとなるドライバーなんだろう
どこから手を付けたらいいんだろう
やることが多すぎると手が止まります
多くは、鶏と卵の関係のため、どれが一番大事、と言えない気もします
でも、昨年のインタビューを通じて一つの仮説が浮かびました
ガイドの育成は、企業の人材育成に似ているというところで、
力を入れるべきは、「採用」と「教育」だが、「採用」を軽視しているのではないかという話です
「教育」は大きく、「研修:Off the Job Training」と「OJT」に分かれますが、
個人で動くことの多いガイドはOJTが機能しづらいという点もあります
見渡すと多くの地域・事業者は、「研修」に力を入れてきているように思います
図1でいう「研鑽」をどうしようか、という点に知恵も予算も使っている節があります
しかしながら、インタビューした際にも聞きましたが、
コミュニケーション能力は一朝一夕で伸びるものではありません
「直接的な講座で、短期間に、能力を伸ばせるかというと、限界があると認識している。
https://2310.bunj.in/?p=4978
なら、最初からある程度の能力の人を集めることに力を置く必要があると感じている」
少ない量から、質を頑張って高めようとしても、質はあがっても量と質の両立はできません。
まずは、量を増やすこと。
量を増やせば、質の高い人が多く生まれる可能性も上がります
企業の採用をみていても、人気企業はそもそもの応募数が多いこともあり、
その中からほんの一握りの優秀な人材を大量に採用していたりするわけです
この、「認知」「検討」「求職」における課題を
どれだけ解決しようとしているかを見渡してみると、あまり具体的な事例は見られません
各地で「ガイド育成プログラム」が行われているものの、ほとんどは「研鑽」だけ
確かに、漠然とした広報活動より、具体的に研修が行われるのでやった感はありますが、
中長期で課題解決をしていきたいと思うなら、認知・検討・求職に手を入れたほうが、
断然コスパの良い取り組みになるんじゃないだろうか、というのが現時点の仮説です
JapanWonderGuideが目指す先
その問題にどう向かっていくか、というと、
高い理念も掲げて、その課題全部を潰しにかかりたいと僕たちは思っています
JapanWonderGuide(以下、JWG)は、ゲスト・地域双方に通じたスキルの高いガイドコミュニティを創り、観光人財の育成を通じて観光立国に貢献していく事を目指しております。
https://japanwonderguide.com/join/
・日本のガイドの質を世界一に育て、職業としての地位を確立する
・地域の消費拡大・交流人口増に貢献し、持続可能な観光の活性化を目指す
・民間外交官として、国境を越えた相互理解の促進・世界平和に繋げる
研修プログラムも磨いていきます
既に各地で取り組んでいる「研鑽」のプログラムも、
他より魅力的で、有意義なものを創り上げていきたいと思っています
満足度の高いものと、有意義なものは、時に一致しませんが、
どちらかと言えば、有意義なものを創り上げていきたい性質です
(満足度の高さには、出来た感が大事になってくる一方、
有意義だと思う成長に必要なのは、出来なさ感だと個人的に思ってます)
最近、若干優先順位は下げていることもありますが、
秋以降、新たに研修を追加していければと思っています
![](https://japanwonderguide.com/wp-content/uploads/2020/09/unnamed-2.png)
提携施設の開拓を進めています
「研鑽」での一つの目玉は、提携施設の開拓です
ノット(KNOT)ワールドとして「観光施設と観光ガイドを繋ぐ(KNOT)こと」を試みてます
観光施設としても、
ガイドの方にお客様を連れてきてほしい、魅力を発信して欲しい、というニーズを持っています
一方で、ガイドも、
施設の方の話を聞いて、より深い面白い話を伝えたいと思っています
そして、現実的なところ下見とかが経済的な負荷になっていたり、
同行時にゲストに支払ってもらうことが心理的な負荷になっているケースがあったりします
なので、ガイドの下見・同行時の入場料の減免・優遇を受け入れてくれる施設の開拓を行っています
現在350施設ほどですが、将来的にほぼ全ての施設に理解いただけないかなと思っています。
ウェビナーに力を入れてます
なんだかんだで「研鑽」の話が続きましたが、
「研鑽」と「認知」を兼ねて、JWG Liveをスタートして、続々ウェビナーを公開中です
提携施設やコンシェルジュの方、観光施設の方に多大な協力を頂いております
![](https://japanwonderguide.com/wp-content/uploads/2021/10/632e6c857fa4b2b6f533ce80ea8770a9.jpg)
内容的には「研鑽」なのですが、無料でいろいろなジャンルのウェビナーを取り扱うことで、
「食」に興味を持っていた人が、ガイドのことを知るきっかけになったり、
「庭園」に関心があった人が、自分もガイドやってみようかな、という機会を創れればと思ってます
最初は数十名のガイドの方に参加いただいていたのですが、
回を重ねる中で400名を超える方にお申込みいただけるようになりました
施設の情報をガイドに届けるという点でも貢献できるようになったかなと思いますし、
新たな層に「ガイド」という存在を知ってもらう機会を創れているかなとも感じています
「研鑽」色が薄く、ガイドとは無縁だけど、より旅に興味関心のある層に、
アプローチしていくウェビナー等も仕込み中です
継続してブログで情報を発信しています
「検討」という観点では、JapanWonderGuideのブログで情報発信を続けています
通訳ガイドという仕事をより身近に感じてもらえるよう、
通訳案内士の方のインタビューを掲載したり、仕事内容に関する記事を投稿しています
仕事の機会も創出していければと動いています
とはいえ、なんだかんだで根本は稼げるようになることが大事です
JapanWonderTravel.comも改良し、C2Cのマッチングもできるようなサイトに改修しました
また、ガイドの方が旅行会社からも仕事を得やすくなるよう、
更にマッチング機能の改善を進めているところです
インバウンドが回復した際には、
元々オリジナルで企画していたフードツアーやプライベートツアーの仕事の拡大に加え、
自分でツアーを作って掲載してもらったり、他の旅行会社と繋げたりしていく予定でいます!
昔、僕たちがやまとごころのサイトで通訳ガイドの募集広告を出させてもらったように、
JapanWonderGuide上でも求人情報を広告として掲載していければというのも模索しています
今後、ドンっとロールモデルを打ち出したい
そんなこんな、いろんな取り組みをやってますが、まだまだ小粒です
「やりがいがある仕事」「カッコいい仕事」「稼げる仕事」「キャリアが描ける」までは、
上記を積み重ねていっても中々時間がかかりそうだな、というのもあります
逆説的ではありますが、1000人のいいガイドを頑張って育てるのではなく、
1人のエースに脚光をガツンとあてることが、
結果として1000人のいいガイドを産み出すのではとも感じています
キムタクが美容師をやれば、美容師人気は上がりますし、
検事役をやった日には、経済学部じゃなくて法学部受けようかなって思った高校生がいます。ここに。
(結局、法学部には受かる気が全くせず、経済学部を受けましたが。)
わかりやすく世に伝える存在って必要だと思ってます
まずは、わかりやすく「1000万円プレイヤーを打ち出すこと」かなと思ってます
明るい未来に向けて邁進するのみ
きっとこれらの課題と向き合い解決していければ、明るい未来が見えてきます
もっともっともっともーーーーっと磨いていく必要はありますが、
これは確信に近いものがあります
ただ、、、
人手・金銭的なリソースが足りていない現状を、まずは解決せねば、な状況でもあります
なので、こんな方がいれば、ぜひご連絡いただきたいところですが、
まずは自分たちで、日々日々精進していきます
- ○○県の提携施設開拓は私に任せて!
- こんな研修なら自分で企画したい!
- ガイドへの求人広告出したい!
- 単純に明るい未来を応援したい!
- あの会社なら気が合いそうだから紹介する!
- お金出すよ
- ロールモデルは私がなる!
- 提携施設になりたい!
- 一緒に日本のガイドを形作っていきたい!
まもなく、2021年度のJWG会員の募集も始まります
2021年度からはもっと会員の方とも共創していければと思っておりますし、
企業や自治体・一般の方も関われる賛助会員制度的なものも設ける予定でいるので、
ご一緒する機会があれば幸いです
ここまで長々と読んでいただきありがとうございます
明るい未来を自分たちの手で創っていきましょう
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