春が近づいてますます多くの外国人を街中で見かけるようになった。特に、東京や京都では実感地が高いだろう。他の地域では、まだ実感がないというケースもあるかもしれない。でも、気付いていないだけでもう目の前までゲストは来ている。
その証拠というわけでもないが、ノットワールドのメディアから宿泊予約された目的地を見ると、東京・京都はもちろん多いのだが、「え、なんでそこに!?」という場所も多く見受けられる。
こういうタイミングなので、「早く波に乗ったもん勝ちだよ」という反省を書くことにする
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同じ集合場所で次々に始まる他社ツアー
自分たちが2015年にツアーを始めた当初、築地本願寺前で集合していたのは、別のガイド団体のガイド研修だけだったと記憶をしている。
「集合場所をどこにするか」も議論になったので、脱線して補足しておくと「わかりやすさ」「チームビルディングのしやすさ」「フライング防止」みたいな論点があった。
わかりやすさ、は説明も不要だと思うが、チームビルディングのしやすさで行くと一定の広さが必要だったりする。また、「フライング防止」というのはこれを書くにあたって初めて創った言葉だけど、早く来ちゃった人が、ガイドで案内する場所を先に見てしまうことはなるべく避けたいというのもあった。「さっきここ来たよ」「さっきこれ食べた!」となってしまうと感動が薄れてしまうからだ。
そんなこんなで、築地四丁目の交差点のローソン前と悩み、築地本願寺を集合場所としていた。
(集合にまつわるトラブルはまた別途まとめようと思う)
インバウンドが増えてくるにしたがって、集合場所に他のツアーの姿を見かけるようにもなった。
まぁ集合場所を独占しているわけでもないから、しょうがない事ではある。
ただ、ある時から、なんか多くのゲストを毎日迎え入れている人を見かけるようになった。
しかも、その人は、初対面であると思われるのだが、最初から親しげに名前を呼んでいる。
知り合いか?とも思ったけど、でも、どうもやっぱ初対面っぽいのだ。
どういうことだ!?
急速に拡大していった個人間マッチングAirbnb experience
なんで、彼は初対面のゲストの名前をすぐ呼べるんだろう。
「ゲストの顔写真を送ってもらったりしてるのかなぁ」とか、手間のかかることを想像したりもしてみたが、まもなく、「あ、Airbnbか」と思い、調べてみるといつものあの人の顔を発見した。
Airbnbでは、マッチングした時点でプロフィールの顔写真が双方に見えるし、その状態でメッセージのやり取り等もしているので、会った時点で、誰だかが分かるようになっている。
民泊ですでに有名だったAirbnbは、2016年、Airbnb experienceとして体験の提供を始めた。
Airbnbが本当に上手だなというのは、一気にスタートするのではなく、供給を魅力的なものに絞り、需要を増加させたうえで、需給バランスを保ちながらスケールさせていくということだ。オンラインツアーの開始の時もそのすごさを垣間見たのだけど、その話もまた脱線拡大するので今日はおいておく。
Airbnb experienceの開始時は、個人と個人のマッチングということもあり、体験を提供する個人をだいぶ厳選したうえで、体験も磨きこんでいる印象があった。
僕たちもちょっとは気になって、初期に申込をしようとしたけど、確かWaiting listのような形になってしまった気がする。そもそも、個人間マッチングでもあり、企業としての登録は出来ないし、有(@yukono1017)か僕がずっと張り付いているわけにもいかない。
それで手を付けていなかったわけだけど、そうこうしているうちに、同じ築地という舞台で、似たような場所をまわっているツアーが立ち上がっていた。
彼は毎日10人くらいに囲まれて楽しそうに話している。
凄いな。先越された。
Airbnb experienceの門戸が広く開いた時には、時すでに遅し。
同じような価格帯なのだけど、彼の方が口コミが圧倒的に溜まっていて、これから追いつけるような感じではなかった。
別ターゲットを狙った別価格帯の商品をリリース
自分たちもAirbnbのホスト登録まで出来たけど、さぁどうしようとなった時に、選択肢は2つだった。
1.これまでやってきたツアーで頑張る
2.別のツアーを考える
結果的には、別のツアーを考えるに至った。
これまでのツアーは、1人約10,000円の価格帯。
そうなると、自然と5つ星ホテル、4つ星ホテルのゲストが中心だった。
でも、マスで考えると日本に来ているのはそんなゲストばかりではない。
それに、ガイドに長い時間ついてもらうのがどうかというと、旅のスタイルとして好まない人もいるだろうとも感じていた。
一方で、ガイドがいることで絶対旅の質は格段に向上する、ということも僕たちの確信だった。
だったら、1-1.5時間だけハイライトを案内するのはどうだろうということになった。
3時間半のフードツアーでも、「ツアーでいいお店を教えてもらうことが目的で、後でそこに行って楽しむ」という声は一定聴いていて、だったら、もっと短くハイライトだけを紹介するのも形になりそうだよね、というのが着想だった。
「3.5時間で10,000円。食費+ガイド料込」というコスト構造も、
「1.5時間で3000円。ガイド料のみ込。1日2回転。人数もちょっと多くみる」という形にすれば、同じ時間で同じ利益を見込める。
結果的には、これがAirbnbのプラットフォーム上では功を奏した。
1日に7人×2組×2回転=28人。2019の桜シーズンはほぼ毎日そんな状況になった。
第一波には乗り遅れたが、新しい価格帯への挑戦によって第二波にはのることが出来た。
第一波には乗り遅れてしまった反省の原体験ではあるのだけど、これからの地域のインバウンドには参考になる話かと思っている。
- OTA等は、最初の波に乗ることが重要で先行者優位なマーケットでもある。今の日本は、東京・京都・大阪等を除けばまだ最初の波が来ていないので今がチャンスでもある
- 競争が行われているところでも差別化を考えればチャンスがある。誰にどんな価値をどんな価格帯で提供するかを考えれば道が見つかる
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