第7話 2000超える口コミをどう貯めてきた?試行錯誤の連続で得たノウハウ

ツアー誕生ストーリー

僕たちは良くも悪くも口コミに集客を頼ってきた。
ここには反省もあるのだけど、どうやって口コミを貯めたかを今日は書こうと思う。

まず最初に、口コミを投稿したことがあるという人はどれくらいいるだろうか。
よくセミナー等でも来場者に聞くのだが、大体1-3割くらいの手があがる。
観光業界に関わる人であってもその程度なので、他の業界であればもうちょっと低いかもしれない。

そう、そもそも口コミなんて、放っておいて勝手に集まってくるものではない。
意図的に集めにいかないと、望んだ口コミは集まらないのだ。


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事業者ランキングトップ10入りする0⇒100への口コミの蓄積

僕たちは、ツアーを開始した当初、「TripAdvisorで10位くらいに入れば予約が来るらしい」という噂を耳にし、まずはそれを目標にした。
TripAdvisor上では今ほど事業者は多くなかったし、Viatorとも連携していなかったので、現在とは表示のされ方も異なっていたが、大体50件くらい、5つ星の評価中心に集まれば10位くらいに入れる状況だった。

ここで大事なのは、「5つ星中心」ということだ。
日本人は、食べログで4点を超えると、すげーいい店だなって感覚を持っているが、欧米の人が中心のTripAdvisorの上位は、5つ星が9割というサービスばかりだった。

これを念頭にまずは、5つ星を10件、50件と段階を踏んで目的を設定した。
目標さえ決まれば後は進むのみ。

2015年1月にツアーを開始したときは、1月で2名しか有料での申し込みはなかったが、商品を磨くため&口コミを貯めるため、Meetup等でゲストを探し、20名くらいは無料で河野有がガイドを務め、ツアーを実施した。そして、ゲストに是非口コミを書いて欲しいというお願いを直接した。

また、やまとごころのセミナーにSATOYAMA EXPERIENCEの山田拓さんが登壇すると聞いて、セミナーに参加し、「どうやって口コミ貯めてるんですか?」って質問したりもした。
(今でも仲良くさせてもらっている山田拓さんとは、以前から名前を聞いていたし、キャリア的にも近いもの(コンサル⇒夫婦で世界一周⇒観光)を感じていたので、どこかで会いたいと思っていたこともあったが、これが初対面だった。)

また起業直後にゲストハウスで修業をさせてもらっていたことがご縁で知り合った当時TripAdvisorのゲストハウスでトップレベルだったファミリーイン西向の原さんにも口コミを貯める秘訣をお伺いしたりした。

「おせっかいが大事だ」という話だったり、「滞在中に写真をとっておいて、後日メールで感謝のしるしに送りつつ、レビューをお願いしている」というような話を聞いて、自分たちも大いに参考にさせてもらった。

ツアー中に写真を撮って、翌日には、「ありがとう。あなたに会えてよかった!思い出の写真を送るね!よかったらレビューを書いて欲しい」というメールを送るようにした。
河野有の熱いパッション、ゲスト愛とトーク力で、商品を磨きながら5つ星を最初重ねることが出来、ツアーの構成として、満足頂けるものを創ることが出来た。
そして、一緒に働き始めたガイドさんたちの素敵なガイディングによって、順調に5つ星中心に口コミが積み重なっていった。

「お願いする前に、満足度が高いことは大前提だが、一定、熱量と愛で満足度はカバーできる」とよく講演でも話すが、それはこの時から今に至るまでの原体験でもある。

初めて4つ星が入った時はそこそこショックではあったし、数が少ない時は1つの4つ星が結構ランキング・申込にも影響したのだけど、何とか挽回しながら東京TOP3くらいに入るようになった。

振り返ってみると、目標達成に向けた近道は「成功者をまねること」と「PDCAを高速で回すこと」の二点だと思っている。
何をするにしても、行動して、成功しても失敗してもそこから学んで次に活かす人が強い。
そして、成功事例なんて世の中にたくさん転がっているので、ケーススタディしてどんどん自分のものにしていく方が早い。

口コミ100⇒2,000へ拡大・定着化に向けた挑戦

ツアーを開始して100個の口コミがたまったのは、2015年8月頃だった。8か月目というところか。
自社調べではあるが、2015年、日本の体験プログラムでで一番外国人からExcellent(5つ星)を貰ってたのは僕たちだった。

当時は、TripAdvisorにおける東京の体験事業者の中でのランキングが予約数に相関していたので、他社の動向も含めよく見ていた。
元々上位にいた事業者よりいい口コミを積み重ねてきたが、同時期に物凄い勢いで口コミを伸ばしている事業者がいた。浅草の人力車えびす屋さんだった。日本語の口コミも含めると彼らが2015年のNo.1だった。
口コミを見ていると、「よっぴーさんが楽しかったです!」とか言う口コミがたくさん並んでいて、「よっぴ―って誰だ!?」と社内で騒然となりホームページで探してみたりもしたほどだった。
(しばらくたって、よっぴーさんの人力車に実際に乗ることにもなりました)

「何がそんな口コミの秘訣なんですか?」とえびす屋さん聞いたら、「『お客様の目から相手のハートに飛び込もう』くらいの気持ちでお客様と接しています」的な回答が返ってきた。
大好きすぎる熱さ丸出しの回答に刺激を貰った。

当たり前だが、口コミを集めるうえで、会社から翌日にメールでお願いするだけでは力が弱い。
多くの体験事業者の口コミを見ると「○○さんが素敵でした」と固有名詞と共に書かれている。

直接案内した人が、お願いするのが一番効果が高い。

なので、ガイドの方々にも、口コミをお願いしてもらうように改めて伝えた。
ただ、「お願いします!」と言って、「はい、わかりました!」というガイドの方ばかりではなかった。

ゲストにお願いすることに抵抗を感じる人もいた。そもそも口コミをお願いすること等を禁止している旅行会社もあると聞くし、それも分かる。
色々コミュニケーションにも工夫をしながら、ガイドの方々にも協力いただけるようになった。

・ガイドの方々に口コミをお願いしてもらうよう伝える
・半年に一度ガイドの方々と集まって懇親の場を持ちそこでも伝える
・ガイドの方々が伝えやすいように口コミを依頼するカードを用意する
・依頼するときの話法も共有する
・口コミがガイドの方にとっても仕事が増えることに繋がるという意義を理解してもらう
・口コミの数・質により、業務委託料をあげるというインセンティブを付ける

話法で言えば、「もっとこの町の魅力を伝えていきたい!そのためにはあなたの口コミが大変大きな力になるので、是非お願いしたい」と言った大義を掲げたものもあったし、チップを渡されそうになる時に「チップはいらないから是非口コミを」と返すこともあった。
あるスタッフは「ボスからノルマを課されてて・・・」とお願いして口コミを書いてもらったなんてこともあった。
いや、まぁウソでもないのだけど・・・そんな地道な積み重ねを積み重ね続けて今がある。

そして、ガイドの方々に協力してもらうとともに、ツアーの磨き上げをしながら、会社から送るメールの文面やタイミングも試行錯誤をした。

ツアーの内容で言えば、一番大きな変化は築地場内市場の移転だったし、大事な話なのだけど、また後日触れたいと思う。

文面で言えば、最初は「口コミ書いてね」って送っていたのだが、「すげー楽しかったぜ」って言いながら4つ星評価なゲストもいたので「5つ星の口コミ書いてね。マイナスのことがあれば直接連絡貰えると嬉しい」と変えたりもした。
タイミングで言えば、特に100⇒1,000くらいのタイミングでは、翌日に加え、3週間後にもメールを送っていた。

「あなたの写真をブログにも掲載したので、良かったら見てね」と。

ツアーの翌日は多くのゲストはまだ日本を旅行中だ。
そんな旅行中に口コミを書いてね、と言われても書ける人がすべてではないし、メールは埋もれてしまう。

だったら旅行も終わってちょっと落ち着いたころに依頼のメールが来た方が、「あっそうだった、書かなきゃ!」と楽しいツアーを思い出してもらえるのではと考えた。

実際に、この3週間後メールは一定の成果はあったのだけど、忙しいオペレーションの中で、だいぶ口コミがたまり1つの口コミの重さが低下していったタイミングで、送ることはやめてしまった。
初期に立ち上げる時にお勧めの施策ではある。

積み重ねているうちに、えびす屋さんには華麗に引き離され、マリカーには颯爽と抜かれ、TripAdvisorも仕様変更等があり口コミが消えたりしたこともあったが、「2000を超える口コミを頂き、その95%は5つ星」というのは僕たちの強みでもあり、ホントにみんなで創り上げた一つ一つの積み重ねの結晶であり感慨深い。

良くも『悪く』も、と書いたのは、悪い口コミを貰うことを恐れ、チャレンジが出来なくなってスケールへのアクセルを踏めなかった、という反省があるのだけど、そのあたりはまたいつか。

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