第18話 1時間前まで予約受付!ゲストの動向と引き受け体制のカイゼン

ツアー誕生ストーリー

ツアーの立ち上げから今に至るまで、一つ一つの細かいカイゼンの積み重ねだと改めて書きながら感じているが、今回は日本全国にとって参考になりそうな話を直近のデータに基づいてしよう。

インバウンドが盛り上がってから様々なアクティビティ開発がおこなわれているが、「価格設定を含めた販売への意識の欠如」「オペレーション担当者の不在」「やる気のない予約締切タイミング」がツアーが立ち上がらない3大理由だ。

言ってしまえば、行政の補助でやってて、自分の財布で勝負をしてないからそもそも責任感がないってこと。ちょっとでも責任感がある「組織」が担ってもらえれば改善するんだろうけど、結構ハードルは高そうなので、責任感ある「人」にちょっとでも気付きや論理的根拠をお渡しできればと思う。

――――

過去の投稿はこちらをご覧ください

ツアー誕生ストーリー
1万人を超えるゲストを迎えたツアーの誕生から現在までの7年の成長記録です。 ツアーの企画・運営に興味がある方は是非ご覧ください。ツアー造成・ガイド育成・販路拡大・OTA活用等のリアルが見えてきます。

――――

スポンサーリンク

直前の直前までツアーを売れる努力をしよう

結論から言ってしまうと、「予約は1週間前まで」なんて対応は今の時代、完全に時代遅れだ。
(セキュリティ面等特別な事情がある場合を除く)

でも、ツアー造成とかをしていると、そうした決め事と結構出会う。
「人の手配をしないといけないから」というのは分かるんだけど、極論だが、もうむしろ受け入れる気がないんじゃないかとしか思えない。

結構、アクティビティ関係は、人件費がコストとして乗ることもあり、これまでは申込があった際に人をアサインして、赤字にならないように運営してきたケースが多いと思う。実際僕たちもそうしてきたし、そうしている面はある。

そして、自分たちも時代遅れだなと思ってるし、どうにかして、改善をしていかなきゃ、と今の今も思っている。

「接客」は、もちろんホスピタリティにおいて大事な一面だとは思うが、ゲストの立場からすれば、「いつでもどこでも直前でもわかりやすくすぐに予約できること」の優先順位の方が、高いかもしれない。ありがたいって思うだろう。それも大事なホスピタリティだ。人に頼らないホスピタリティなんてある意味簡単で、絶好の提供の機会を逃すのはもったいない。

「でも、ゲストが来なかったら赤字になっちゃうじゃん・・・。」

そういう気持ちは凄い分かる

もう赤字の日があるのは目をつぶろう。
1か月通して、あるいは、3か月通して、1年通して、利益が最大化することを考えていかないといけない。その為には、出来る限り直前まで引き受けたほうがいい。

どんどん直前化してきた予約のピークの山

「データに基づいて話をしよう」といったが、昔のデータがもうとれないものもあるので、一部は記憶の中から伝えたい。

「何週間先、何か月先の予約が多いんですか?」という質問をツアー開始以来良く受けてきた。
2016年くらいの際に調べたときは、ツアー実施前の2週間前くらいに山があって、1カ月先、2カ月先のツアーの予約もそこそこ入ってきていた。

今も桜のシーズン等数カ月先の予約は入る。ただ、予約のピークの山は明らかに変わってきた。
2018年にインターン生が分析したところ、「全然2週間前じゃなくて直前にピークが来ます!」という示唆を出した。

1-2週間前かなとまだ感じていた僕たちからすると衝撃的なデータだったし、すぐに改善するとても価値ある分析だった。すぐに、出来る限り受け入れ可能なタイミングを見直した。

48時間→24時間→12時間・・・

最終、築地のスポットツアーに関しては、1時間前(当日の朝8時)まで受け付けることにした。
実際この分析からの変更は有効だった。

1週間前で締め切っていたら、直近一週間の機会損失を自社のデータで分析することは出来ない。
ただ、参考までにということで、2019年と2022年の10-12月のツアーの予約に関して、何日前に予約が入ったかをお見せしよう。
(業務時間ベースなので、前日夕方以降に来た予約は、その翌日付で受付処理をしている。「0日」というのは、前日夕方から朝にかけて入った予約ということになる。)

予約のピークの山は前日に来ていて、約5割は1週間以内に予約をされている。

これがスポットツアーにおいてはさらに顕著で、当日で1割、前日で4割にもおよび、1週間で6-7割の予約を占めることになる。単純に、1週間前で締め切っていたら、倍以上のゲストを失っていた計算になる。

1週間前に「最少催行人数に満たないから」と催行を見送るツアーも、本当は多くのゲストで儲かる1日だったかもしれない。

これが、「1週間前に最少催行人数に満たないならやらない」というオペレーションだとツアーが立ち上がっていかない大きな要因だと思う。
以前書いたように、最初は投資だと思って催行させていくことが大事だ。「どうやったらリスク(支出コスト)を最小化できるか」ではなく「どうやったら収支を最大化できるか=どうやったら直前まで受け付けられる体制を整えられるか」という論点と向き合う必要がある。

やると決めたら後は誰がどれだけリスクを負うか

「どうやったら直前まで受け付けられる体制を整えられるか」という論点を考えていくと、結局のところ、リスク(負担)を誰が負うかとオペレーションの設計という話になる。

リスクに関しては、「ゲストが負う」「ガイド・従業員が負う」「旅行会社・ツアーオペレーター」が負う、の大きくは3つの選択肢が考えられる

ゲストが負うパターンとしては、「催行決定をぎりぎりまで引き延ばす」「キャンセルポリシーを厳しくする」等が考えられるが、利便性や満足度にも大きく影響を及ぼしてくるので、なかなか手を付けづらいところだと思う。

ガイド・従業員が負うパターンとしては、「直前までスケジュールを仮抑えさせてもらう/ガイドとのキャンセルポリシーを見直す」「ガイド・従業員にツアーの仕事がない場合は別の仕事をお願いする」等が考えられるだろう。仕事がない場合のガイドの収入に配慮する必要がある。

そして3つ目が、旅行会社・ツアーオペレーターが負うというものだ。「もうツアーを催行してもしなくても費用はガイドに支払う」というのが分かりやすいケースだろう。

どれか一つというのではなく、バランスを見て設定すればいい。ただ、大事なのはリスクとリターンはセットだということだ。旅行会社がリスクを全部負うなら、その分のリターンも旅行会社が貰えばいい。ガイドがスケジュールを直前まで仮押さえさせてあげるなら、その分催行した時の報酬は高めに設定しておけばいい。いろいろな解決策が考えられるはずだ。

また、大事なのはオペレーションということになる。直前で来てもすぐに誰かをアサインできる仕組みを作っておけば、何とか対応できる。

例えば、社員の一人は緊急出動できるようにしておく、という方法もあるし、LINE等で一斉にスケジュール確認をできるようにしておく、という方法もあるだろう。


人は、気が進まない時には「出来ない」といい、「出来ない」と決めたら出来ない理由を考えがちだが、「どうやったら出来るんだろう」と考えると、必ずそこに道はある。

直前まで予約を受け付けられるようにしていくことは、各事業者の収支改善にもつながると信じているし、旅行者が日本をより楽しんでもらうためにはちゃんと体制を整えていかないといけない部分でもある。

コメント